尾崎将司は、心身ともに充実しきって首位

　「風は強いし、グリーンは硬い。今年のよみうりは、いつもと違う…難しいね」と、繰り返しながらも、尾崎将司の表情が明るい。
　「でも、この風の中、ショットそのものはね、『自分でこうだ』とわかっているから、悪いゴルフをするはずないって、自信を持っているんだね」

　6番、541ヤードのパー5。ティショットは、312ヤードまで飛ばした。第2打は、「今日は手前目という計算。グリーン一杯一杯のクラブを持った」。4番アイアンでグリーン左のラフに運び、傾斜のあるラフから、ピンまで2メートルに寄せてバーディ。
　「6番のショット。あれは実にいいショットだった」満足げに振り返る尾崎。
　スコア67で、伊沢、佐々木と並んで首位タイ。この日のドライビングディスタンスも、6番と16番ホールの平均295ヤードで堂々のトップだ。

　53歳の肉体でも思いどおりのショットが打てるようにと、今年夏場にキャンプを張って、ハードなトレーニング。ショット面でも、グリップに工夫を加えたり、志向錯誤を繰り返してきた。
　先週のカシオワールドでは、「意識して、腰で打つスイングをやっていかないといけない」との答えを出して、最終日に64をマーク。単独首位に食い込んだ。
　今週で、8連戦目だが、「疲れているヒマなんてない。ホテルに帰っても、部屋ですぐにクラブをいじっているくらいだから」。心身ともに充実しきっている証拠だ。

　「これでシーズンが終わりなんて、ちょっともったいないね。今週から開幕戦にしてもらいたいくらい」と豪快に笑うジャンボ。
　「この1年、志向錯誤をしてきたわけだけれど、答えが出たことで、ヨシとしないと、と思う。これから、変えていかなければいけない部分の的が絞られたんだ。そう考えれば、1年間の投資は、惜しくもなんともない。今週は、試合うんぬんよりも、いかにいいゴルフができるか…そういう分野の気持ちのほうが強いんだ」

　ジャンボにとっての、今季最終戦。最終日には、この1年の集大成が見られそうだ。

• 尾崎 将司