Tournament article
つるやオープン 2000
「とにかく自分を信じることさ」
2ホールの間に、『天国から地獄』を演じたリチャード・バックウェル。せっかく奪った首位の座を、あっけなく田中秀道に譲り返した時点で、もはや勝ち目はないようにも思われた。
しかし、先に通算10アンダーでホールアウトし、グリーン横で見守る18番。通算11アンダーの田中が3メートルのパーパットをはずすと、再びバックウェルにチャンスが巡ってきた。
プレーオフホールの18番ティグラウンドに向かう前、バックウェルは大会スタッフに、こんなことを言ったそうだ。
「僕は、優勝スピーチをぜひとも日本語でやりたいんだ。だから、ヒーローインタビューのとき、通訳の人は必要ないよ」
バックウェルは、いったん自分を見放した勝利の女神が、また自分に微笑みかけてきたことで、あとはもう、勝つことしか考えていなかったのだろう。今回の勝因について、バックウェルは、「とにかく自分を信じて、1打1打打っただけさ」と言った。どんな逆境にもメゲず、最後まで信じ続けることで、バックウェルは再び女神を呼びこんだ。