Tournament article
つるやオープン 2000
「72ホールで頭をまとめてしまっていた」という田中秀道
だからこそ魅せた、17番パー5の、渾身の池超えショット。フィニッシュでは足がねじれ、態勢が保てないほどだった。常に、「ギャラリーを沸かせるゴルフをしたい」と願う田中の気持ちが、最大限に込められた完全燃焼のショットだった。
当然、そこで試合を完結させるつもりだった最終18番。田中の第2打は、グリーン右のギャラリースタンドの中へ飛びこんで行った。ドロップして打った第3打は、ピン下7メートル。パーパットはわずかにカップをそれ、試合延長―。バックウェルとのプレーオフに突入だ。
共にパーで分けて迎えた4ホール目の17番で、田中は残り120ヤードの第3打をピッチングウェッジで振りぬいた。だが、球はわずかに距離が足りない。グリーン手前の段にぶつかり、転がり落ちていく。
なんとか、池の淵ギリギリの場所で止まったが、それは奇しくも、本戦17番でバックウェルが池ポチャにした箇所と、ほぼ同じ位置だった。
そこからのアプローチは、ピンを3メートル以上もオーバー。パーパットは沈められず、軍配はバックウェルにあがった。
「76ホール目(プレーオフ4ホール目)で、僕はもう一杯一杯でした。72ホール終わって余裕がないということは、それだけ僕が甘いということなんです」終わって、田中は、うなだれた。しかし、開幕2戦目で勝ったダイドードリンコ静岡オープンと引けを取らないくらい、この日も田中は、大いにギャラリーを沸かせた。敗れはしたが田中はこの日、間違いなく、もうひとりの“主役”だった。
これを反省材料に、田中はきっとまた強くなる。そんな思いを抱かせる負けっぷりだった。