Tournament article
国際オープンゴルフトーナメント 中日クラウンズ 2000
「地元・名古屋という特別な意識も当然あった。」田中秀道
それでも、あまりにも答えがでなかったものですから、お世話になっていたメンタルトレーナーの岡本正善先生(東京都)に何年かぶりに会いにいったんです。そして、つるやオープンのときの戦い方を説明してどこが悪かったのか、と聞きました。
そしたら先生は、『精神的には、かなり良い状態までいってるんだけど、ただ、ヒデはいろんな情報を察知しすぎるんじゃないか』、とおっしゃったんです。つまり、プレー中に『きょうは僕が勝つ空気じゃない』とか、『きょうは僕に流れが来ている』とか、あまりにも空気を敏感に読みすぎるんじゃないか、と。
そうやって空気を敏感に察知することは決して悪いことじゃないんだけど、それも過ぎるとつるやオープンのときのように、ああいう負け方をすることもある。そんなに悪いほうばかりに考えないで、すっきりしてクラウンズに入ろうという話しを先生としました。
今日も、あのとき(つるやオープン)のプレーオフでの負けを取り返そうという気持ちが出てくるとはわかっていたんで、自分でそういう気持ちは出しすぎず、どれだけパーと戦えるか、という気持ちでやっていこうと決めてプレーしました。自分でも、よく我慢できたと思います。
地元の名古屋でっという特別な意識も当然ありましたし、途中からスコアに差がつけばつくほど、当然勝たないといけないというプレッシャーもありました。なおかつ先々週の悔しさも絡んでいましたから、切羽つまって、だんだん口が乾いてきたというような状況でした。このプレッシャーをクリアできたというのは今回、非常に大きいと思っています。
といっても、つるやオープンのプレーオフ負けがこの勝利でクリアになるとは思っていません。これからの戦いにかかっている。逆にこんな大きな大会で勝ったのだから、という責任がさらに大きくなる。でも、今後の弾みをつけるためにも、今回の優勝は、非常に嬉しく思っています。
今日は1番で7メートルのバーディパットを入れて、次の2番では、エッジからのエーディバーディパットをはずしたんですが、やはり今日も2日目の13番、14番の連続ボギーのことが頭にあり、ひとつのミスのショックをひきずって、2つのミスをするのはやめよう、と、その時点で気持ちを切り替えていきました。このコースは、まだまだそういう事態は起こりうるんだから、ミスをひきずっていてはいけない、と。
で、3番でグリーンをはずしたんですが、30ヤードのアプローチは非常にライが悪くて、前2番でイージーバーディが取れなくてのピンチでしたから、『とにかくボギーでいいや、次のホールから落ちつこう』という気持ちで寄せをしたら、パーが取れたという感じでしたね。
そういうふうに我慢しながら来たのが、7番、9番のバーディにつながりました。そういう悪いほうの判断というか、『こういうミスは後半でする確率が多いんだから』と、考えながら、前半3アンダーでターンできたのが大きかったと思います。
そして後半のハーフは、当然のように体が止まってきました。それは体の痛みとかではなく、緊張状態のせいですね。それが自分でも判断できました。案の定、ショットでひっかかりまくってたんですが、緊張で体のターンができないのであれば、『とにかく肩をぐるぐる回さなくちゃ』とか、『ボールにあまり集中しないでもっと体をまわそう』とか単純に考えて行こう、と思ってやりました。
10番ではグリーンの手前にはずし、11番は左にはずし、13番は左、14番も左に乗せるだけ、というふうに、とにかくダボが見えないようなプレーをしようと、それだけ考えていました。