Tournament article
Phlip Morris K.K Championship 2001
「勝たないと、悔しさはなくならない」
鈴木亨が、ため息まじりに漏らした。
「今年は、良いことがまったくないんですよね・・・」
6月のタマノイ酢よみうりオープン、プレーオフ1ホール目の18番で2発のOBを打って、屈辱のV逸。
そして、リベンジを誓った7月のアイフルカップでもまたもやプレーオフで台湾の林根基に、優勝を譲り渡し、「あんなに悔しいことを2度も・・・普通はそうそう、経験するものじゃないですよね・・・」と、ポツリ。
しかも、ゴルフだけでなく、プライベートでも「悪いこと」は、立て続いた。
8月。京子夫人の母・千和子さんが、肺炎により、58歳の若さで亡くなった。
「女房と、お義父さんのショックは、かなりのものだった」
亡くなる直前は、看病に追われたり、家族中が、暗く沈みこんだ時期もあったという。
そのほかにも、9月の大会で、鈴木が大切にしていた靴が盗まれたり、災難続き。
もともと、「気持ちの切り替えが下手で、精神的に、考え込んじゃうタイプ」と話す鈴木は、一時期、「今年は、きっともうだめなんだ」と諦めモードになったこともあった。
「ゴルファーなんて、精神的につらい仕事、自分でもほんと、よくやっていると思います」と、苦笑まじりにしみじみと語ったが、この苦しみを払拭するには、“優勝”の二文字しかないことも、鈴木には、痛いほどわかっている。
「勝たなくては、プレーオフの悔しさはなくならないし、家族を明るくするのは、僕のゴルフ。落ち込んでばかりじゃ、ダメですから」
今週の会場の、ABCGCは昨年も4位に入るなど、「ここに来たら、良いプレーができるような気がする。ミスしても、自分のミスを受けいれてくれるような気がするから」と、相性はバツグン。
昨年4日間、「1ホールで6アンダーをマークした」という18番パー5でこの日もイーグルを奪って上がってきた鈴木は、「これからは、常に前を向いて頑張っていきたい」と、笑顔で話した。