最終日、地元・茨城出身の片山には、心強い味方がついていた。
当初は、観光バスを1台、チャーターしようかとの案も出たほどの大応援団。
片山のプレーに、ロープ際からひときわ大きな拍手と歓声が沸き起こる。
その中には、母・節子さん、妹の真理さん、そして、みち代夫人の姿もあった。
１ショット、1パット毎、息を詰めて見守る3人。
とくに、みち代夫人は、今週の片山の体調不良をそばで見ているだけに、「相手は、今もっとも調子の良い人たち。あの体で大丈夫かしら、と、今日はほんとうにドキドキしながら見ていました」と話す。

それでも片山が順調にスコアを伸ばし、15番で、この日3つ目のバーディを奪って下位を突き放すと、「やっと安心しました」と、胸をなでおろしたみち代さん。

だが、18番ホールで家族とともに、連覇達成の喜びに酔いしれたのもつかの間、重大なミスに気付いて大慌て。
「大変！　今日の試合のビデオ録画、放送予定時間どおりに、セットしてきてしまいました！」

この日のテレビ中継は生放送。試合が延びれば、予定より最大３０分、放映が延長されることになっていた。
それを知ったみち代さんは、「録画予約を、多めに設定しておくんだった！」と、後悔したがあとの祭り。

「きっと、肝心の優勝シーンが撮れていない。あの人は、試合が終わったらとにかくすぐにビデオを見たいタイプだから、きっと叱られるわ！！」
ホールアウト後は、また違う意味のドキドキ感を、味わうことになってしまったようだ。

• 片山 晋呉