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フジサンケイクラシック 2001
3日目、トピックス 「パパ、1個だけヘタだったね!」
この日ノーボギーの67でホールアウトしてきた鈴木亨に、長男・貴之君(4歳)が、ほっぺたを膨らませて言う。
「今日はほとんど上手だったけど・・・パパ、1個だけヘタ〜!!」
最終18番パー4、ピンまで2メートルのバーディパット。
「そうだね〜。セカンドもすっごくいい球を打ってチャンスだったのにね〜。パパ、ほんっとダメだねえ・・・」申し訳なさそうに言う鈴木の顔は、すっかり、良き父の表情に戻っていた。
ここ川奈は、鈴木家にとって、ゲンの良い大会だ。
93年大会。3日目に64のコースレコードをマーク。その記者会見の席上で、同時に京子さんとの婚約を発表した。
「毎年、ここでなんとかしたいなあ・・・と思いながら乗り込んでくるんですけどね」と、大会がめぐってくるたびに、鈴木は、あのときの幸せをかみ締める。
今年は、昨年に引き続き、夫人と、愛里ちゃん(6歳)、貴之君をつれての会場入りだ。
実は初日。その家族の前で、屈辱的なことがあった。
悪天候の中とはいえ、1番から5連続のボギー。
「5連続なんて・・・めったにないことだと思いません? 2日目の米山さんの6連続バーディと同じくらい珍しい。・・・いやあ、あのときは焦りましたね。このまま永遠にパーが出ないんじゃないか、と。もう、帰ろうかとも思った」
しかし、家族のてまえ、無様なままでは終われない。
渾身の力で、16番をイーグル。最後はバーディフィニッシュの18位で初日を終えていたのだった。
そんなことがあっただけに、この日の“ノーボギー”には納得顔で、「今日のスコア、上出来です」と鈴木。
この日5日は『子供の日』。
「パパの成績が良かったら、どこか遊びにいこう」と約束していた鈴木家は、父の成績が、その時点で6位タイまで上がっていることを確認し、笑顔で揃って出かけて行った。
そして、鈴木家が一家団欒を楽しんでいる間も、鈴木の成績は上昇を続け、結局、3位タイグループに名を連ねた。