Tournament article

サントリーオープン 2002

「サントリーは、かけがえのない試合」

藤田寛之、思い出の舞台で再び

今年、30回大会を迎えた今大会は、藤田にとって、「かけがえのない、大事な試合」という。
97年大会で、尾崎将司の猛追をかわしてツアー初優勝。
それを機に、藤田のゴルフ人生は、「180°転換」していったからだ。
まず、ファンの藤田を見る目が変り、マスコミからは、連日の取材攻勢を受けた。
「周囲の人に、盛り立ててもらって」一躍、時の人に。
中でも、もっとも大きく様変わりしたのが、藤田自信の心模様だった。
「1勝したからには、恥ずかしくないゴルフを」
にわかに芽生えた自意識が、藤田を、よりいっそう真摯にゴルフに取り組ませた。

身長168センチと、小柄。
「今のままでは、今後のツアー人生を戦い抜けない」と痛感してからは、トレーニング量が増え、解決すべきスイングの課題も、年をおうごとに、高く積まれていった。

あれから5年。
藤田は、いま、もっとも充実のときを迎えている。
「自分でも、全体のレベルが、底上げされたのを感じる」
5月、師匠の芹澤信雄から受けたアドバイスが、藤田に新しいスタイルをもたらした。
インパクトで下半身を切りながら、状態をかぶせて打っていたスイングを、下半身の使い方はそのままに、右足の上でボールを捉えるようにした。
これにより、もち球のフェードボールのほかに、「よりストレートに近い」球筋も加わって、ショットが安定。
新しいクラブの効果とあいまって、15ヤード飛距離も伸びた。
「僕は派手なタイプの選手ではないが、地味でも、精一杯戦う姿で、常に人を感動させていたい」と話す藤田。
当時と開催コースが違いこそすれ、成長のあとを示すには、この思い出の大会は、うってつけの舞台だ。

関連記事