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日本オープンゴルフ選手権競技 2002

 「今年はきっと苦戦、その中でも良いきっかけをつかめれば…」

昨年覇者、手嶋多一の練習ラウンド

「きっと今年は苦しい戦いになるなあ…」と手嶋。会場の、下関GCは右ドッグレッグが多く、ドローヒッターの手嶋には、どちらかといえば、不利。
しかも、ここ2試合で立て続けに予選落ちを喫している。「ドライバーも、アイアンも、アプローチもパットも…!!(苦笑)最近、さっぱりでねえ…」
それでも、なんとか策を練ろうと、この日18ホールの練習ラウンドに出た(写真[1])。

その1ホール目、さっそくの第一声は、「先月まわった下見会よりかなりラフが短くなっていてビックリ。でもこの夏は、会場に近い僕の自宅(福岡市内)でも雨不足で、注意報が出ていたくらいでしたからねえ。しょうがないですよねえ…」
手嶋の言うとおり、120ミリだった昨年に比べ平均80ミリと、大会名物のラフの苦しみは今年、若干軽減されそうだ(写真[2])。

だがそれでも、その先に待ち受ける小さく速いグリーンは、「相当の注意が必要」と手嶋は警戒を強める。
「例年よりラフが短いといっても、あのグリーンに止めるには、相当のアイアンのキレがないと…。高麗芝なのに、仕上がり状態は素晴らしく、下りのラインなら、ベント以上に、速いかもしれない…」
もともと、高麗芝を得意とする手嶋も、「下りのラインにはつけたくないなあ」と言いながら、あらゆる箇所から球を転がし、芝目を確かめた。「ここは、海のほうからも、目があるみたいですねえ…」(写真[3])

それに、落しどころやグリーンのヘリにへばりつくように点在するアリソンバンカーも、各所で効いている。
「遠くから見ていたらそうでもないんですが、実際に、入ってみると、砂が硬いし、思ったよりも深いんですよ。ピンに近い方のバンカーに入れたら、かなり厳しいことになりますよ」と、手嶋は、わざといくつかボールを放りこみ、バンカーの感触を確かめた。

グリーン回りのラフは、毎朝コース管理が総出で、「くまでや、ローラーを使って、芝を逆立てて逆目のライを作るようにしている」と、西尾辰昭グリーンキーパーも話すとおり、グリーンを少しでも外せば、球がすっぽりもぐりこむ。
手嶋は、「クラブヘッドに芝が絡みつき、脱出に高度な技術が要りますね」と、いくつもラフにボールを散らばせ、アプローチ練習を繰り返す。(写真[4])。

各ホールのティショット、セカンドショット以降で持った番手を、詳細に、メジャードメモに書き込んでいく手嶋(写真[5])。
数字的には同じ距離でも、当然、風の向きやコースの形状によって、ホール毎に選ぶ番手は変ってくる。
「本戦に入ったら、状況によって応用をきかせ、ゲームを組み立てていくんです。だから、練習ラウンドは、僕ら選手にとっては、非常に大切な“儀式”みたいなものなんですよね」
本調子とはいえないながらも、「伝統の大会で連覇のチャンスなど、めったにない。ぜひ狙いたいですね」と話したディフェンディングチャンピオン。
この日の下見をどう生かすか。
昨年優勝のこの大会で復調のきっかけをつかめるか、注目が集まる。

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