Tournament article
ジョージア東海クラシック 2002
「昨年より、はるかに神経、遣ってます」
ホールアウトしてきた渡辺は、開口一番。
「今日はほんとうに疲れた〜! できることなら、もう二度と回りたくない気分…」
昨年より、タイトに設定されたフェアウェーと、左右に振られたピン位置。さらにこの日は晴天で、グリーン上は、時間を追うごとに、硬く、速さを増していく。
前日水曜日には、14年ぶりに三好にやってきたジャンボ尾崎に、「まるで日本オープンのようだ」と言わしめたほどにシビアな、今年のセッティング。
「1ホール1ホール、…いや、1打1打が難しい。少しのミスも、許されないという気持ちで、例年より、はるかに神経を使ってプレーしてきたんだよ〜」
とにかく疲れた…、とつぶやいて、渡辺はガックリと肩を丸め、いかにも疲労感を漂わせた。
そんな状況だったから、この日の3アンダーには、「上出来ですよ」と頬を緩ませた。
「厳しい16番(*)も、崖に落としながらナイスボギーだったし、ダボもあったけど、そのかわりのイーグルも出たし。18ホールのトータルで言えば、今日はとっても大満足!」
納得のラウンドのカギとなったのは、正確なティショットだ。
場所によっては140ミリ以上成長したラフに打ち込めば、「絶対にボギーになる」と、警戒を強めた渡辺はこの日、フェアウェーをほとんど外さなかった。
「フェアウェーからなら、問題なくグリーンが狙っていけるからね。…しかしそれだって、頑張って、頑張ってのティショット。残り3日も、このドキドキが続くんだ〜。あ〜イヤだなあ…」
そうつぶやく渡辺の表情は、心底、うんざりした顔だったが…。
* 三好の16番…グリーン左に、約20メートルもの下りの急勾配が待ち受ける、名物ホール。
この崖下に落とせば、斜面には、大きな木が何本もそびえたっているので、高い球でグリーンが狙えない。しかも、ラフからグリーンまではわずかな幅しかないため、少しでも距離が短いと、ボールは再び、崖を転がり落ちてくるしかけになっている。
この日午後スタートで、一時は、上位争いをしていた島田正士は、ここで8打を打った。