Tournament article
中日クラウンズ 2002
「和合の神様が、いましたね」
地元ファンの大歓声とともに、ボールがカップに吸い込まれた瞬間、桑原の頭によぎったのは、「ブリット!! 色は黒!!」だった。
“ブリット”とは17番のホールインワン賞、トヨタのステーションワゴン『マークⅡブリット』のこと。
「ほんと、正直入った瞬間は、優勝副賞の車のことがよぎって、『あの車の色は、やっぱ黒がかっこよいよなあ』とまで、考えちゃいました…(苦笑)」。
この日は、出だしから、つきまくっていた。
1番、2番で、ピンチからバーディを奪い、同組のジャンボ尾崎には、「おまえほど、ついてるやつは、見たことない」と、嫌味を言われたほどだった。
17番パー3は、この日の“ラッキーショット”の極めつけだった。
7番アイアンでのティショットを打った瞬間、「なんか、入る雰囲気が辺りに、出てたんですよ」と、入る前からホールインワンを“予知”するほどだった。
「今日は、和合の神様が、確かにいましたね」
地元のプレッシャーにつぶれるのが、常だったこの大会。
「これまでになく、良い状態に仕上がって、会場入りしたんです」4年ぶりのVにむけ、手ごたえは、十分すぎるほどだ。