Tournament article
〜全英への道〜 ミズノオープン 2003
『ほんとうにありがとう、ハミルトン!』滑り込みで初のメジャー出場権をゲットした谷原秀人
思いがけず、初のメジャー挑戦権を手に入れた谷原は、チャンピオンに感謝せずにはいられない。
「まさか、こんな展開になるとは思ってもみなかったから・・・ほんとうにほんとうに嬉しい!」
今大会が、全英オープン日本予選の最終戦。開催前は、谷原は予選ランクの上から5 番目だった。出場権が得られるランク上位4人の中に入るには、その時点で優勝するか単独2位に入って4番目の宮瀬を抜くしか道がなかった。
予選2日目を終えて、その宮瀬が予選落ちしたことで、やや、条件がゆるくなり、3人までの2位タイに入ればチャンスがつかめる可能性もでてきたが、悪天候の3日目には 22位まで順位を落し、それもほぼ絶望的となった。
「もうだめだ・・・」諦めかけたそのとき、救世主が現れた。
それが、ハミルトンだった。
当時、日本予選ランクの1番目につけていたハミルトンがもし優勝すれば、ミズノオープン最上位者の資格が出場権として優先されるため、予選ランキングでの対象外になる。同ランク5番目につけていた谷原まで、順位が繰り下がることになるのだ。
それを知った谷原は、「頑張ってくれ〜!!」
ハミルトンの“にわかファン”となって、エールを送り始めたのだった。
この日最終日も自分のスコア以上に気になったのが、もちろん、ハミルトンのスコアだ。
ハミルトンがひとつスコアを上げるたびに、遠くからでも、拍手を送った。16番のスコアボードで、ハミルトンが1打差首位を走っていることを確認すると、あとはもう、ほとんど祈るような気持ちだった。
ホールアウト後もソワソワと「いまからコースにハミルトンの応援に行こうかな」とまで言いだしたほどだ。
それだけに、優勝が決まった瞬間は、安堵と喜びが弾け飛んだのだった。
そんな谷原の喜びように、最初はなんのことやら理解できずにただ、握手を握り返していたハミルトンも、最後にはようやく事情を理解して「なんだそうだったのか! そんなことなら、彼には何かご馳走してもらわなくちゃね!(笑)」。
24歳にして初のメジャー挑戦件を手に入れた谷原には、「若くしてそういう大きな舞台に出られるのは非常に良いこと。彼にも頑張ってほしいね」はからずも、自分の勝利が他人のためになったことにも満足そうに、ハミルトンは、エールを送っていた。
谷原のはなし「今日のスタートでは全英のことなど、まったく意識していなかったけど、途中からずっとハミルトンを応援して、近くのホールを通りがかったときなどに、拍手を送ったりしていました。昨日あたりから僕はグリーンが読みきれなくなっていたし、初日にはラフからのショットのときに左手の小指を痛めていたので、とにかく完走するのが精一杯だった。それだけにハミルトンの活躍は、ほんとうに嬉しかったんです。
こういう形で出場権を手に入れることができて最高です。とにかく、ハミルトンにありがとうです。僕は、世界にはまずは米ツアーのQスクールから挑戦しようと思っていたので、いきなりメジャーに出場できることになって、正直、どんな具合になるのか想像もつかないけれど、みんなに注目されることになるのだから、もう少ししっかりしたゴルフをしないと・・・と思っています。
まずは予選通過を目標に一生懸命に頑張ってきます。みなさん、応援してくださいね!」
写真=R&Aチャンピオンコミッティのデューガル・レイ氏より正式な全英オープン招待状を受け取る谷原「感無量です!!」