2週前のオープンウィークは、一晩中、テレビにくぎ付けだった。今年のメジャー第3 戦、全英オープン。自身も、一昨年前から2年連続で出場を果たしているこの大会 は、「4大メジャーの中でも、もっとも注目している試合」だけに今年も、“朝寝て 晩起きる”逆転生活で、4日間、その一部始終を完全チェックした。
ほとんど無名だったベン・カーチスの、いきなりのメジャー初制覇にも度肝を抜かれ たが、それ以上に手嶋が目を見張ったのが「あれほどに過酷な条件の中でも、耐えて 戦い抜く選手たちの精神力の強さ」だ。
ほんのわずかなミスがミスを呼び、トップを走っていた選手が簡単にダブルボギー、 トリプルボギーを打つ。「そんな状況の中でも、（トーマス・）ビヨンとか、ほんと うに最後まで切れずにやっていた。世界のトッププレーヤーたちの優勝争いのときの 忍耐力。ほんとうに凄いなあ、と・・・」。 ひるがえって自分と身を置き換えたとき、「俺ならどうなってしまうだろう？」と、 考えずにはおれなかったという手嶋。
「これから、優勝争いするときのヒントになりましたね」。
この日初日は前半でカップに嫌われ、いらいらする展開も続いたが、テレビで見た世 界最古のメジャーのイメージそのままに、耐えてイーブンパーでハーフターン。その 間、同じ組のパット巧者の佐藤信人のパッティングスタイルを盗み取ることも怠りな く、フィーリングをつかんで後半は2番から3連続バーディ。8番では10メートルの バーディパットを決めるなど5アンダー、5位タイスタート。
「未勝利選手の賞金ランクトップの平塚君も上にいることだし、ぜひ、上位について いきたい」と気合いを入れた。

• 手嶋 多一
• 佐藤 信人