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久光製薬KBCオーガスタゴルフトーナメント 2003

『今年は昨年のリベンジと、誕生日プレゼントを』田島創志が恋人との約束を果たして首位発進

大会開幕前夜、1年半の付き合いになる恋人に約束した。「明日、絶対に一番になる から」。この日28日は、彼女の24回目の誕生日だった。いつも影から支えてくれる大 事な人には、「最高のプレゼント」でお返しをしたいと考えたのだ。
普段は、めったに会場に来ない彼女がロープの外から見守る中、8バーディノーボ ギーの64は、ツアーでの自己ベストスコア更新だ。朝から強い雨風が吹き荒れる中で の単独トップに、「有言実行で約束を果たせたことが、何より嬉しかったですね」。 ホールアウト後は、彼女と笑顔で見つめあった。
3週前のアイフルカップとサン・クロレラクラシックでは、2週連続で4位に入った。 今年からプロコーチの堀尾研さんと二人三脚で取り組んできたスウィング改造の効果 が出ている。
強いフックグリップからのドローボールが田島の持ち味だった。その特徴を生かしつ つ、フェード系の習得を今シーズンの課題とした。180度の変化に最初はまったく球 が当たらず、ゴルフが嫌いになりかけた時期もあったが、「今年は辛抱の年にしよ う」覚悟を決めたら7月あたりから次第にボールコントロールができるようになって きた。
今では、「プレッシャーの中でも大丈夫、優勝も狙える」と言い切れるほど「安定し たショットが打てる」と自信を深めている。
もともと、得意のパッティングにも最近いっそう磨きがかかっている。ホールアウト 後に目標方向にクラブを置いて30球、毎日ボールを転がすのは、片山晋呉に教わった 練習法だ。ある日、その目的を何気なく尋ねたところ、返ってきた答えに深く納得さ せられたのだ。
「試合をやっているうちに、目線やストロークが少しずつズレていくだろ? だから こうやって、1日の終わりにまっすぐのラインを、取り戻しておくんだよ」。以来、 欠かさずこの練習をしてから、コースを出るようにしている。
昨年のこの大会、最終日の18番を1打差2位で迎えながら、グリーン右手前の木に引っ かかった第2打がそのまま落ちてこず、ロストボールでダブルボギーを打って9位に転 落。「かなり悔しかった。今年はぜひ、あのリベンジを・・・」。1年前の無念を晴らし て、最終日こそ首位で終われば、恋人にもこれ以上ない贈り物になる。

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