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サン・クロレラ クラシック 2003

『まぐれがよく最後まで、続いてくれたという感じ』単独首位の武藤俊憲は、群馬のからっ風育ち

先週まで7試合連続で予選落ちしていた選手が、2位と2打差の単独トップに立った。 武藤俊憲 (むとうとしのり)25歳。目立った成績はないが、その存在は以前から注目されてい た。身長 173センチ、体重73キロと小柄ながら300ヤードドライブ。常にドライビングディスタ ンスの常 連で、「小さいのに、むちゃくちゃ飛ばすやつがいる」と評判だった。今週は、その 飛距離に 安定性が加わって、この難コンディションの中、自身初というノーボギーのゴルフ。 「よくま ぐれが最後まで続いてくれたなって感じ(笑)。68のスコアもツアー自己ベストなん ですよ」 と大喜びだ。
先週、普段からよく練習を見てもらう小山内護に、アドバイスをもらった。「武藤は 右手が強 すぎる。もっとボールをフェースに乗せる感じで、振っていってごらん」。言うとお りに練習 を重ねると、途端に思い通りの球が打てるようになった。
「小山内さんのおかげで、ピンを狙うゴルフができるようになって、気持ちも前向き になって きた」予選落ちが続いていた武藤にとって、自信を持ってラウンドできるようになっ たことが 何より、大きかったようだ。
母の実家が練習場をしていた関係で、物心ついたころから祖父お手製のジュニアクラ ブで、ゴ ルフに慣れ親しんできた。本格的にゴルフを始めたのは、前橋育英高校でゴルフ部に 入部して から。卒業後は迷わずプロの道を目指し、「からっ風」で有名な、群馬県の草津CCの 研修生に なって腕を磨いた。
「草津では、今日よりもっともっと、すごい赤城おろしが吹く」という武藤にとっ て、この日 の風は、好スコアの妨げにはならなかったようだ。
先月からバッグに入れている新しいパターも好調で、470ヤードと距離のある最難関 の13番パ ー4で、6メートルを入れてパーセーブ。この日18ホール中、「一番強い風が吹いた」 という17 番でも、ティショットがあわやOBという状況から「1つでも少なくあがっておく!」 と執念で、1メートルを決めてパーを拾った。
勢いづいた最終18番では、奥から2メートルのバーディパット。これも沈めて「やりました! 」と、笑顔満面でガッツポーズ。
「今日だけじゃなく、明日以降もこんなゴルフを続けたい」と日も暮れかかる札幌ベイの空の下、拳を握った。

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