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つるやオープンゴルフトーナメント 2003

『怒りっぽい性格を変えたい、と』どんな劣勢にも最後まで「勝つ」との気持ちを貫いて勝ち取った宮瀬博文のツアー5勝目

礼儀正しく、いつもニコニコ笑顔を絶やさない宮瀬だが、実は人一倍、熱くなる性格だという。「みんな良い人って言ってくれるけど、とんでもない。
見えないところじゃすぐに自分のミスにカッカして怒ってるし、切れることもしょっちゅう(笑)それでたくさん失敗してきた」とは本人談。「でも、今年はそんな自分を変えたいと、本気で思ったんですよ」

32歳。まだまだ長い自分のゴルフ人生、「もうひとつ上に上がっていくにはどうすればいいか・・・」そう考えたとき、まず宮瀬は「精神面のコントロール」を課題にあげた。「今年1年は、どんなに悪いときも同じリズムで打っていこう」と決めた。その目標を、最後まで貫いたこの日最終日のプレーぶりだった。

3番でティショットを左林に打ち込んでボギーが先行。続く4番でも連続ボギーとするが、宮瀬は心に誓う。「今日はどんなことがあっても、最後まで我慢する」度重なるピンチにもじっと耐えしのぶ。

13番のスコアボードで、兼本に3打も差をつけられていることを知って動揺したが、それで、かえって落ち着きを取り戻せた。「それまでは入れ込みすぎていました。追いかける立場になっていたことがわかって、肩の力がス〜っと抜けた」
バンカーからバンカーへと渡り歩いた14番で、3メートルのパーパットをねじこんだことで、再び上昇のきっかけを掴んだ。「俺にもまだツキがある」15番パー5で2オンに成功してバーディ。そこで再びスコアボードを見上げると、首位の佐々木と兼本との差がひとつに縮まっていた。

再び緊張がよみがえってきたが、17番で3メートルのバーディパットを決めてトップタイ。
迎えた18番は、再び試練だった。右に曲げた第2打は、深いラフにすっぽりと埋まっていた。ピンまで残り155ヤード。フライヤーさえのぞめない状況で、グリーンに届くはずもない。8アイアンで出すのが精一杯。

そこから残り63ヤードの第3打は「ショートだけはやめよう」と気負うあまり、サンドウェッジが強く入ってしまい奥3メートルだ。「入れたい、でも外れても仕方ない。とにかくねらったところに打つ」開き直って打ったパットは、カップの右ふちをなぞりながら、ポトリ、と落ちた。
「思わず体も、球の動きにつられて一緒にねじれてた(苦笑)」執念のパーパットで、プレーオフにもちこんだのだった。
前半の伸び悩みには「さすがに、もうあかん」との気持ちがよぎった瞬間もあった。しかし、その気持ちこそが「負けを導く」。シード10年で、いやというほど思い知らされた事実。
「だから、今日はどんなに劣勢でも最後まで“絶対に勝つ”との気持ちを忘れないようにしました」多少のミスにも一度も切れることなく、辛抱強く勝機を手繰り寄せたのだった。

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