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日本プロゴルフ選手権大会 2003

『悔しい思いが、僕を強くしてくれる』片山晋呉、地道な努力の末に勝ち取ったプロ日本一の座

今週、美浦ゴルフ倶楽部のハウスキャディさんたちが、始まる前から優勝者予想にあげていたのが、ダントツ1位で片山だった。今年に入って、たびたびコースにやってきては、入念に下見している姿を、みなそっと暖かく見守っていた。
開催の前週金曜日には大会準備のために、クラブハウスがクローズされたにもかかわらず片山はやってきて、マスター室でセルフ料金を支払ってコースに出て行った。
「昨日3日目にはイーグルも見せてくださった最終18番は、特に念入りにチェックされていたと聞いています。今回の片山さんの優勝は、その成果に違いありません」(廣瀬光雄・大会名誉会長、パシフィックゴルフマネージメント株式会社会長)。

昨年大会、久保谷健一とのプレーオフに敗れた悔しさは、いつまでも片山の心にとぐろを巻いたままだった。「去年本戦の16番で、パーパットを外し」(片山)プレーオフにもつれこんだシーンは、夜、眠ろうと目をつぶると、ふいによみがえってきてたびたび片山を苦しめた。
昨年の屈辱を、苦い思いで振り返るたび強く心に誓ったのだ。「来年は、絶対に勝つ」。
そのために、何度もコースを訪れて、コースの特徴やグリーンの形状、霞ヶ浦から吹く風の抜け道まですべて頭に叩き込み“リベンジ”にのぞんだ今大会だった。
最終18番ホールまで決着がつかない、息詰まるデッドヒートの中でもぎ取った2位との1打差は、地道に重ねてきた努力の差だ。
片山は言った。
「“悔しさ”が,僕を強くしてくれる。いつも悔しさを忘れずにやっていれば、いつか間違いなく、強くなれる」
1年越しに手に入れた優勝カップに愛しそうに頬ずりして、「ずっとこれが欲しかったんだ・・・」しっか りと胸に抱き寄せた。
ツアー通算13勝目は、プロ日本一の座。ジャンボ、青木、中嶋・・・そうそうたる面々が名を連ねる伝統の大会にふさわしい、第71代目のチャンピオン誕生だ。
写真=地元茨城での開催に「なんとしてもここで去年の悔しさを晴らしたかった」という片山は、優勝インタビューで地元ファンのみなさんに感謝をこめて茨城弁でスピーチ。勝負を決めた18番グリーンでは、地元・応援団の方々の胴上げで宙を舞った。

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