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日本プロゴルフ選手権大会 2003

『優勝シーンに立ち会えて、感無量です』片山晋呉の日本タイトルを後押しした人たち

昨年のリベンジという以外にも、もうひとつ片山の心を奮い立たせたものは、地元・応援団の存在だった。
バス1台チャーターして会場入りした一団は、片山がひとつバーディを奪うたびに大きな歓声をあげ、それがまたいっそう片山の闘志を奮い立たせた。
4日間で、のべ752人集まった地元ボランティアのみなさんも、後押しをしてくれた。片山の行く先々で「ガンバレ、晋呉!」と、力強い声援を送ってくれた。
この日、片山の組のキャリングボード(移動式速報板)担当のボランティア、柳田紀昭さんもその一人だった。聴覚に障害を持つ方々で作る『日本デフゴルフ連盟』に所属し、自らも競技ゴルフに親しむ柳田さんは、スタート時から片山の勝利を確信していたという。

「片山さんの鋭い目つき・・・気持ちの入りようが、他の選手と違っている感じたんです」。
柳田さんの読みどおり、片山は後半から猛チャージをかける。9番からの4連続バーディに、柳田さんの心も躍る。手元のボードの数字を入れ替えるたび、柳田さんは、まるで自分のことのように興奮していた。
「私がボランティアを務めあげた組からチャンピオンが誕生したなんて、ほんとうに感無量です・・・」。
ホールアウト後、駆け寄ってきた片山とがっちりと握手を交わし、
「おめでとうございます!」(柳田さん)
「今日はほんとうにありがとう!」(片山)
互いの労と健闘を称えあい、2人は笑顔で見つめあった。
写真=「片山さんのプレーは勉強になることばかりだった」と柳田さん(左)。「特にアドレスの前に胸を張ってひとつ深呼吸して、背筋を伸ばしてから構えるところや、あとは片山さんのメンタルの強さに脱帽しました」この日の経験はきっと、柳田さんの競技生活にも役立つことだろう。次のラウンドでは78のベストスコアも更新されそうだ。

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