Tournament article
マンダムルシードよみうりオープンゴルフトーナメント 2004
マンダムルシードよみうりオープン2日目
大会2日目、久々の単独首位に立った桑原克典を支えている言葉
2002年はホールインワン1回を含む、年間15個のイーグルを奪って“イーグル王”に 輝いた。昨年2003 年のフジサンケイクラシックでは、2日目に、アルバトロスを達成している。
「こう」と決めたらあとさきを考えず、目の前の1打に集中し、そのとき自分にでき 得る限り最高のパフォーマンスをファンに披露する、それが桑原の身上だった。
だが今年は、「イーグルよりも、ボギーを減らして堅実なゴルフをしよう」。そう目 標を決めてのぞんだことが、かえってあだとなった。
ボギーを恐れるあまり、1打ごとに雑念が入り、集中力が極端に鈍ったのだ。
たとえば、グリーン左に池が横たわるホール。あらかじめハザードを避けて、右にア ドレスを取ってい るにもかかわらず、「左の池は、大丈夫かな」と、なお不安を捨てきれないまま ショットしている自分 がいる。
「ターゲットを決めたら、それに向かってただ打てばいいだけなのに・・・。『あっ ちに行ったらイヤ だ』とか、『こっちに行ったらボギーかも』なんて考えながらゴルフしていたんですよ」。
そのせいで、今シーズンはこれまで9試合フル参戦して、最高順位が14位(つるや オープン)。安定感 を求めた分、平凡な成績に終始していた。
そんな桑原が自分の原点を思い出すきっかけは、今週の火曜日。たまたま入ったコー ス近くの和食の店 。カウンターに座ったとき、飾ってあった額に目が釘付けになった。
中国の書家がしたためたという、その力強い書は「乾坤一擲」。
「乾坤一擲=けんこんいってき」とは、「運命をかけて、ここいちばんに大勝負をか ける」といった意 味あいの言葉だ。
「この字を見たとき、『自分も結果をおそれず、ただ目の前の1打に賭けよう』 と」。ひとつの書をきっかけに、気持ちを入れ替えのぞんだ今週は、持ち前のド派手 なプレーも戻ってきた。
この日2日目は、前半の2番パー5で18メートルものパットを沈めてイーグル。7番では グリーン手前13メ ートルの第3打を直接入れて、チップインバーディだ。
2位と2打差の通算13アンダーは、2000年のカシオワールドオープン初日以来の単独 トップ。
3日目は、ジャンボ尾崎と久しぶりの最終組だが「どんな結果になろうとも、ただひ たすら、今週決めたテーマを貫こう」と、桑原は決めている。