Tournament article
ウッドワンオープン広島ゴルフトーナメント 2004
大会が始まる以前から、自身のツアー通算16勝目を確信していた片山晋呉
大会が始まる以前から、自身のツアー通算16勝目を確信していた片山晋呉
大会が始まる前から、宣言していた。
「今週は、僕が勝つ」。前週の日本ゴルフツアー選手権で6位タイフィニッシュ。ゴルフの調子はピー クを迎え、かなりの手ごたえがあった。「そろそろ、次の2勝目が来る」。そう予感した片山は、専属キャディの石井恵可さんにあらかじめ、「そのつもりでしっかり下見をお願いね」と、告げていた。
1打差首位に立った前日3日目。その予感は、確信に変わった。その日はパッティングが思うように決ま らず、2つスコアを伸ばしただけ。ホールアウト後、すぐに練習グリーンに向かって調整したとき、ひ らめくものがあった。
「これで、大丈夫」ヒントをつかんだ片山は、心に誓った。
「この混戦を抜け出して、明日は絶対に僕が勝とう」。強い決意で、最終日を迎えたのだった。
2番パー5で、左下5メートルのイーグルパットをねじ込み、居並ぶライバルたちにカウンターパンチ。8 番パー5は、右から10メートルのイーグルパットを決めた。
ただ、単に勝つだけではない。常にギャラリーの目を意識する片山は、勝ち方にもこだわる。
前回優勝の5月の中日クラウンズ。あのときは、7打差つけて最終日をスタートしながら、プレッシャー にやられ、結局2打差で辛くも逃げ切った。「前はバタバタだったから・・・。今回は、かっこよく勝ちた かった」と、バック9でも勢いは止まらない。
14番、15番の2連続で、2位との差は4つ。今季2勝目はもう間違いないスコアをたたき出しても、片山はまだ攻撃の手を緩めなかった。
17番パー3は左エッジから、ピンまで4メートルもない狭い隙間を躊躇なく狙い、奥から2メートルを沈 めて通算22アンダー。
ギャラリーを、興奮の渦に巻き込み迎えた最終18番は、左バンカーからの第2打を奥のバンカーに打ち 込んだ。奥から4メートルのパーパットを残したが、これを外すわけにはいかなかった。
大会レコードの更新と、大会2日目に続くコースレコードタイの63と、谷口拓也と並んでこの日のベス トスコアタイがかかっていたからだ。
執念でねじ込んで、記録ずくめのぶっちぎりV。
ホールアウトするなり片山はバッグからこの日使っていたボールをわしづかみにした。次々と、満員の ギャラリースタンドに投げ込んでもまだ飽き足らず、使っていないダース箱まで開封して、ニューボー ルを大放出。猛暑の中、最後まで声援を送ってくれたファンへの、せめてもの感謝の気持ちだった。
続くヒーローインタビューでは、インタビュアーが粋なはからい。
「さん、に、いち!!」の音頭とともに全員で、「ハッスル、ハッスル!!」の大合唱。最後までがっ ちりと、ギャラリーを味方につけて離さない。今年の八本松は、片山晋呉の独壇場だった。