Tournament article
アコムインターナショナル 2004
8アンダーの63をマークして、鈴木亨が通算13アンダーの単独首位イチロー選手にあやかって「そろそろ、僕の出番です」
今週は、久しぶりにハウスキャディを起用して「デビューしたころの原点に帰っている」。風向きも、グリーンの読みも、距離の歩測も、すべて自分で行っている。
大会初日は台風21号の影響で、いつもの石岡とはまったく逆の風向き。「すっかりパニックになってしまって・・・」しかし頼るべき相棒もおらず、出だし6ホールで4オーバーと大きく出遅れ、冷や汗をかいたが、「まだ大会は始まったばかり。1打1打、丁寧にやろう」。
そこから自力でみごとカムバックし、最終日を前にしてこうして単独首位に立っていることが自分でも誇らしい。
特にこの日3日目は、5番パー5で残り243ヤードをピン横3メートルに2オン。イーグルを含む8アンダ
ーを記録。63のベストスコアには、「自分じゃないみたい。なんか、上手すぎるよね!」と、思わず自画自賛だ。
「精神面に、弱さがある」ことは、自分が一番、分かっている。この日も、豪快に攻めて爆発的スコアを出しながら、その一方で緊張に震える自分がいた。
大差をつけて最終日を迎えながら、プレッシャーにつぶされたゲームは、過去にも数え切れないほどある。
95年の日本プロは、大会2日目に7打差つけながら結局、3位に終わっている。
「僕はもともと、周囲の期待に添えないタイプ」と言って苦笑する鈴木が、あやかりたいのが大リーグのイチロー(本名・鈴木一朗)選手だ。
同じ苗字のメジャーリーガーは、地元・愛知県の愛工大名電高校の7年後輩でもある。
偉大な後輩は、まさに鈴木が石岡のバック9に差し掛かるころ、いよいよ偉業を達成した。
対レンジャーズ戦の6回第4打席でこの日3本目となるヒットを放って、年間最多安打記録を2本も塗り替えてしまった。
「1本で終わらせないところがさすが。期待に応えられる精神力がすごい。自分なんかが彼の先輩、なんて比べるのもおこがましいくらいだけど、そろそろパっと、『僕の番』と行きたいね」。
今週こそ不振から完全脱却し、メジャー級の優勝シーンで、2年ぶり7勝目を飾りたい。