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マンシングウェアオープンKSBカッフ゜ 2004
3位タイの鈴木亨
3位タイの鈴木亨
このオフ、単身オーストラリアに飛んだ。1月10日から、精力的に豪州ツアーに挑戦。5連戦をこなした 。
昨年末ごろから抱くようになった、「俺のゴルフ人生、ほんとうにこれでいいのか」という悩み。「も う、やめてしまおうか・・・」と真剣に考えたこともある。
煮詰まっていたとき、マネージメント会社の社長から、豪州ツアーへの出場を打診され「この機会に、 ひとりになって冷静に考えてみよう」と、長期参戦を決めたのだった。
愛妻家、子煩悩で有名な鈴木。そんなに長く家族と離れるのは、結婚してからはじめてのことだった。 時には、ひどい環境のホテルでの宿泊も強いられた豪州での「孤独な珍道中」が鈴木に、「自分にとっ て、本当に大切なこと」を、気づかせてくれた。
これまでは、まず、ゴルフがあって、次に家族だった。「ゴルフのせいで、家族を犠牲にしてきたこと も多かった」。
“一流プレーヤーになること”“勝ち星を増やすこと”“マスターズの出場”…と、ゴルフに対する夢 は無限にあったが、「それを実現させることだけが、本当に自分にとっての幸せなのか」と、考え直し たとき、それは少し違うような気がした。
豪州を転戦しながら、「まず家族があって、ゴルフがある。家族と一緒に、幸せを感じながらゴルフを する・・・。そういう生き方がしたい」と、強く願うようになっていったという。
異国の地で生き方を見つめ直した鈴木は、「これからは、自分を必要以上に追い込むことをやめよう」 と決めた。追い込めば追い込むほど、「大好き」なはずのゴルフが、嫌いになっていくからだ。
「とにかく、常に“俺はゴルフが好き”という気持ちを大切に、プレーをしよう」と心に決めて迎えた 、今シーズンだった。
この日初日のボギーなしの5バーディ、67の3位タイ発進にも「優勝を意識して、初日からがっぷり四つ に組んでしまうと、疲れてしまう」と、あえて淡々と、「いまは、大好きなゴルフができる環境にいら れることに、幸せを感じながらプレーしたい」。
1週間後に38歳になる鈴木が、ゴルフ人生の分岐点を迎えているようだ。