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〜全英への道〜 ミズノオープンゴルフトーナメント 2005

今季ツアー初参戦のクリス・キャンベルが、ツアー初優勝とメジャーの初切符を獲得

昨年のファイナルQTランク11位の資格で、今季日本ツアーに初参戦。“デビュー”から、わずか7試合目のクリス・キャンベルが、早くもツアー初優勝を手に入れた。

上がり3ホールは雨中の接戦。17番でバーディを奪って逆転首位に立ちながら、最終18番でボギー。
デービッド・スメイルと、高山忠洋とのプレーオフにもつれ込んだが、「ゴルフで大事なのは、いま目の前のことを一歩一歩こなしながら、確実に進むこと」とけっして焦らず、その2ホール目に右バンカーから第3打を絶妙のアプローチで寄せてバーディを奪い、初勝利と、初のメジャー切符を勝ち取った。

「・・・まだまだ、修行の身。これから3年は日本で経験を積んで、と思っていたのに・・・」と、プロ転向から3年目の初優勝に戸惑いを見せたが、実は開催前から“予感”もあった。

アマチュア時代の2002年に3勝。全豪アマチュアランキング1位につけながら、プロになるつもりはなかった。オーストラリアナショナル大学卒業後は特技を生かし、IT関連のアルバイトをしながら、ゴルフは趣味で楽しんでいくつもりだった。

きっかけは、ナショナルチームでずっと一緒に戦ってきたブレンダン・ジョーンズの活躍だった。卒業後すぐにプロになり、日本ツアーに参戦して成功をおさめていくジョーンズを見ているうちに、気が変わった。
「僕も、彼の後を追いかけよう」。2003年にプロ転向を果たし、日本に乗り込んできた今シーズン。

この週、会場入りしたとき、クラブハウスの看板にジョーンズの写真を見つけた。昨年、この大会でプレーオフの末に、日本ツアーで通算4勝目をあげていた。
「これは、良いサインだなと思ったんです。だって僕の人生は、ちょうど彼の1、2年遅れで進んでいるような感じですからね」。

大親友の跡を受け継ぐツアー初V。
「・・・そして、彼女の前で勝てたことが、何よりも嬉しいです」。
初めての優勝スピーチには、グリーンサイドの新妻が涙ぐむ。

今年1月22日に結婚式をあげたばかりの妻・サーシャさんは、ハイスクールの先生で、この週はたまたま、まとまった休暇が取れて、前夜はるばるコース入りしていた。
最終日、大接戦の18ホールは地元・岡山の大ギャラリーと、妻の声援を励みにした。

優勝カップの“クラレットジャグ”へのキスは、妻との熱い抱擁のあとで。
「初優勝と2000万円もの賞金と、全英オープンの出場権と・・・」。何もかもいっぺんに手に入れて、さらに腕の中には最愛の人。
「僕は最高に幸せ者だよ」。ニューヒーローは、てらいもなく言ってのけた。

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