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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2005

今野康晴が、2005年ツアー最後のチャンピオンに!!

7番パー4で、残り110ヤードの第2打を手前4メートルにつけてこの日初バーディ。このホールから、妻・崇乃子さんにもそうと分かるくらい、夫のプレーぶりがガラリと変わった。

朝、「私のために勝って」と言って送り出した。テレビ解説で会場に来ていた青木功に「ちゃんと、旦那についてやれよ」。
そう言われて寒空の下、自分も思い切って外に出てきたのに。

6番ホールまで苦戦が続き、「このままだとまずい・・・」崇乃子さんも、不安に駆られ始めた矢先、夫の快進撃は始まった。

続く8番パー3。6番アイアンで6メートルにつけてバーディ。
難関の9番は、奥から5メートルを決めて3連続。

それまでは、ティショットが左に行きがちだった。
「それで、逃げ腰というか、左が嫌なときは右を向いて打つ、みたいな。ちょっと守りながら打っているところがあった」という。
しかし、7番のバーディで今野は自分の弱さを振り切った。
「もし、今日負けるようなことがあれば、それはメンタル。逃げてゴルフをやっていたら、絶対に上手くいかない」。

8番から、ふいにショットが「構えたところに行きだした」。
いちばん良いときの感覚が、体に蘇ってきた。
思い通りのショットが打てると、気持ちはどんどん前向きになっていった。

17番で同じ組の横田がバーディを決めて1打差に詰め寄られても、不安はなかった。
すぐに2メートルを入れ返して、2打差で突き放した。

2週前、ポルトガルで行われたワールドカップから帰ったばかり。しかし、片道17時間の移動を挟んだ連戦がウソにように、今週も体がよく動いていた。
これまで、体力には自信がなかった。毎年、終盤戦は4日目を戦うのが精一杯だったが、契約を結んで4年になるトレーナー、菅原賢さんの献身的なケアの効果が出ていた。

ツアー屈指のスインガーは、今年初めてのパーオン率部門で1位に輝いた。
これには、コーチの江連忠との二人三脚の成果が出ていた。

年頭には、“賞金王”のことなど、まったく眼中にはなかった。
「昨年の(ランク)9位。今年も、そのへんにいられれば良いかな、くらいの程度」。
それが、この今季2勝目で獲得賞金も1億円を突破。

自己最高のランク2位に、次に目指すべき目標がくっきりと見えてきた。
「来年は、ぜひ狙ってみたい」。
2006年、片山晋呉のV3を阻む“最右翼”として名乗りをあげた。

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