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マンシングウェアオープンKSBカップ 2005

藤田寛之が完全優勝!!

ウィニングボールは、そっとポケットにしまった。かわりに、専属キャディの梅原敦さんから、それまでの17ホールで使用していたボールを受け取った。
「みなさんの声援が、僕に勇気をくれたから」。
感謝の気持ちを精一杯こめて、ギャラリースタンドに投げ込んだ。

ウィニングボールは、長男・大稀(ひろき)君の手に。
1歳と9ヶ月。「まだ、何がなんだかわからないとは思うけど・・・」。
ツアー5勝目をあげたら、絶対にプレゼントしようと決めていた。

今は理解できなくとも、大きくなったらいつか大会のビデオを見せて、父親が成し遂げたこの完全優勝について、語り合いたいと思っている。

妻・優合子さんは、開催コースからそれほど遠くない、香川県坂出市の実家から車で40分かけて毎日、応援に来てくれた。
まだ、家族の前で優勝シーンを見せたことがなかった。

大稀君をしっかりと胸に抱いて迎えてくれた優合子さんの目に、うっすらと涙が浮かんでいたことは一生、忘れない。

「今日は、人生最良の日になりました」。

プロゴルファーとして、父親として、家族の大黒柱として。雨煙る東児が丘の18番グリーンで、藤田がしみじみと喜びをかみ締めた。

そのそばでよちよちと無邪気に遊ぶ大稀君の手には、父親のラッキーナンバー44が刻印された白球が、しっかりと握り締められていた。

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