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日本プロゴルフ選手権大会 2005
藤田寛之「喉から手が出るほど欲しいタイトル」
クラブハウスのとんこつラーメンを食べたときだ。
九州男児としては、関東で食べるそれは、「どこか物足りない、にせものくさい」と感じてしまうが、ここのは生粋のとんこつの味がする。「うまい!」と心底、舌鼓を打ってしまう。
加えて、ロープの外を見え隠れする父・寛実さん、母・美登子さんらをはじめとする親戚の顔ぶれ。実家からそう遠くないため、総出で応援に駆けつけてくれたことに照れながらも彼らの前で、このプロ日本一のタイトルを手に入れたい気持ちが沸いてくる。
「両親の前で、勝ったことがまだないですからね。ぜひ、目の前でやってみたい」。
謙虚な性格だ。
首位の谷原より年齢はもちろん、キャリアも勝ち星も、藤田のほうがうんと上にもかかわらず「谷原君は、僕なんかとは実力が違いますから」なんて言葉を、本気で言ってしまう人の良さがある。
昨年、米ツアーのファイナルQスクールを谷原と一緒に受験した。練習ラウンドも共にこなしたが、藤田は不合格。谷原は、出場権を手に入れて今季から本格参戦を果たしている。
そういうこともあって、本人はつい、自分を卑下してしまいがちなのだろうが、周囲の評価は違う。
「そろそろ、公式戦で勝ってもいいころ。それだけの実力を、藤田は兼ね備えている」(師匠の芹澤信雄)。
この日2日目は、午後からますます強く吹き荒れた風の中、ボギーひとつで耐えて単独2位。
今年もチャンスがあれば、米ツアーにトライするつもりだ。
その前に、5年シードの今大会は「喉から手が出るほど欲しいタイトル」。
自信を持って、狙っていきたい。