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東建ホームメイトカップ 2006

藤田寛之、大会2勝目のチャンス

今週、練習仲間の宮本勝昌とこんな意見で一致した。「今週の僕らって、親鳥をなくしたヒナみたい・・・」。“師匠”がいない開幕戦は、デビューして以来、初めての経験。

今年から、生涯獲得賞金25位内という出場カテゴリーが1年1回限りしか適用できなくなった。
2人の共通の師匠である芹澤信雄は、昨年その出場権を行使したものの、賞金ランクによるシード権を獲得できず、なおかつ出場優先順位を決めるファイナルQTでランク54位にとどまった。

今大会の出場権は、QTランク41位までの選手にしか繰り下がらず、芹澤に出番はなかった。
「寂しい、というか・・・やっぱり気持ちは複雑です。芹澤さんがいない会場で、どうしたらいいのかという戸惑いもある」(藤田)。

このオフの合宿も、芹澤が中心だった。
そばで一緒にやってきたからこそ、芹澤が選手としてまだ十分通用することも藤田には実感できた。
だからこそシード選手として「また戻ってきて欲しい」との思いが強くなる。

そんな師匠の闘志を呼び覚ますためにも、ぜひここで優勝が欲しい。

しかし、このオフから藤田はスイングの改造中で、今週は様子を見ながらのラウンドだ。
「練習場ではできるのに、試合になると感覚と実際のボールがうまくかみ合わない。スコアはいいけど、どこか不完全燃焼。プロとしては、内容も大事にしていきたいから・・・」。
そのために、優勝を狙っていく気持ちになかなかなれないのが実情だ。

もともと謙虚な性格と相まって、「この状態でこのスコアを自分でも驚き」とか、「予選を気にしながら上位でやっている感じ」とか、「基本的に自分に自信が持てないタイプ」とか、最終日にむけて控え目なコメントばかりが並んだが、それでも最後のセリフには力がこもった。

「でも僕は、精神的なものは強いから。競り合ってきたら、本能が出る。いざとなったら、精神的なもので体を動かしていける」。

一昨年の今大会チャンピオン。
当時も最後まで自信がなさそうに振る舞いながら、プロの本能でついには勝利をもぎ取った。
そのとき、18番グリーンで出迎え祝福してくれたのが芹澤だった。
大会2勝目はブラウン管を通じ、師匠にメッセージを贈れたら最高だ。

※東建ホームメイトカップ最終日の模様は、テレビ東京(TX)ネット6局で16時から放映を予定しております。

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