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東建ホームメイトカップ 2006
ファイナルQT組が好調!!
6位タイにつけた竹本直哉(=写真上)は、女手ひとつで育ててくれた母で女子プロの茂美さんの前で7アンダーをマークして恩返しだ。
15歳のとき、アメリカ留学を勧めてくれたのが茂美さんだった。学業とともに、ゴルフにも存分に親しめるようにと、留学先のパームスプリングスで、ゴルフ場とフェンスひとつ隔てた所にあるアパートを借りてくれた。
いい加減な気持ちでクラブを握ることは、絶対に許されなかった。
「どうせやるなら、真剣にやりなさい」が、茂美さんの口癖。
プロになってからも、なんでもないパットを外したときはロープの外から母の舌打ちが聞こえてきた。
2005年のファイナルQTランクは5位。初めてツアー前半戦の出場権を手に入れた今年は、母親にその成長ぶりを存分に見てもらうつもりだ。
初日10位タイにつけた富田雅哉(=写真中)は岐阜県出身。
会場の東建塩河カントリー倶楽部で、地元ファンの声援を受けて発奮した。
前半の12番から3連続バーディを奪って波に乗った。
今週月曜日に風邪を引いてしまい、体調は万全とはいえないが「諦めず、腐らず。やれるだけのこと
をやっていれば、あとは結果がついてくる。そういう気持ちでプレーしたい」。
田中秀道の弟分は、気合を入れなおした。
同じく10位タイの白潟英純(=写真下)は、2年ぶりのツアー復帰だった。
「今日はまさに“浦島太郎”状態。試合に出られなかった間にすっかり変わってやしないか、自分はまだ通用するのか・・・」。
そんな不安でいっぱいにしてスタートティに立ったが、思いのほか自然体でプレーすることができた。
正確なアイアンショットでピンに絡め、5番で8メートルの長いバーディパットを決めるなど、チャンスをきっちりものにした。
そのほか、やはり10位タイの定延一平や武藤俊憲もファイナルQTで上位につけた選手たちだ。
しかも、そのほとんどがファイナルQTの最終日にビッグスコアを出した者たちだった。
この日初日に3位タイにつけた東聡も今年はQT組での出場となるが、東にはこの状況がある程度予測できていたという。
昨年12月のうちに行われたファイナルQTは、度重なる天候不順で当初の予定どおり競技が終了できなかった。
結局、年をまたいで約3ヶ月後の3月19日に、消化しきれなかったグランドチャンピオンゴルフクラブでの第4ラウンドがやり直され、決勝ラウンドはその2日後の22、23日の2日間で行われた。
つまり選手たちは、昨年年末からずっと、気持ちを切らさないように心がけなくてはならなかった。
そういう過酷な戦いを、つい最近経験したばかりだった。
今週が今年第1戦、という選手よりも試合勘は確実に磨かれている。
「・・・だから、まだちゃんと今日の成績は見てないけど、今日はQTの選手がたくさん上にいるはずだよ」と東が言ったとおりの開幕第1日目の展開となった。