Tournament article
日本オープンゴルフ選手権競技 2006
ポール・シーハン「4000万円に、驚いていましたよ!」
常に、上りのラインを残しながらチャンスを伺う手堅いプレー。
大きな山場を迎えたのは、443ヤードの9番パー4だった。
左林へ打ち込んだティショットは幸いにも木に当たって出てきたが、第2打を270ヤードも残してパーオンできず、ラフからのアプローチは4.5メートルのパーパット。
対する片山晋呉は、ほぼ同じラインのバーディチャンスを迎えていた。
わずかの差で遠かった片山が先に打ったが、ボールはわずかにカップ左へ。
これが、大いに参考になった。
「おかげで、くっきりとラインが見えた。僕は、強めのフックライン」。
がっちりと決めたこのパーセーブこそ、「勝負の分かれ目だった」と、振り返る。
連覇を目指した片山は「後悔だけはしたくない」と、本番までに何度も練習ラウンドを重ねてきた。
勝つために、周到な準備はもちろん必要だ。
しかし、それ以上に「どんなときも、自分のゴルフを貫くことが大事」と、シーハンは言った。
そして「常に周りの状況を知ること」。
たとえ息詰まる接戦の中であっても、他の選手の動きをきちんと把握していれば、いま自分は一番なにをすべきか、自ずと見えてくる。
2打差で迎えたバックナインは、「とにかくパーを拾う。チャンスがあれば取る」。
たとえフェアウェーやグリーンを外しても、次は必ず打ちやすいところにつける、といったふうな状況判断が的確だった。
「グリップを緩めに握った」パッティングも、常に見事なまでにジャストタッチで、危なげなく逃げ切った。
表彰式を終えて、大勢のギャラリーと、主催の日本ゴルフ協会の役員のみなさんと、大会を支えてくださった大勢のボランティアのみなさんに感謝と別れを告げて、クラブハウスに引き上げる途中に電話が鳴った。
故郷で待つ、最愛の妻ジャッキーさん。
「・・・彼女は、何よりもまず(優勝賞金)4000万円に驚いていましたよ!」と、笑った。