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三井住友VISA太平洋マスターズ 2006

伊澤利光「一撃入れたい」

この日水曜日の朝のことだ。伊澤がその目を疑った。

「丸ちゃん・・・!?」。

関係者から「もしかしたら来るかもしれない」とは聞いていたものの、やはり驚いた。

今大会に、エントリーしていないはずの丸山茂樹が目の前にいる。
前日火曜日に、アメリカから帰国したその足で、わざわざ御殿場に駆けつけたその理由が「伊澤さんのことが心配で」というから、ますます仰天だ。

「まさか、本当に来てくれるとは・・・」。
同時に、その心遣いに感謝した。

今年、大スランプ。
複数年の出場資格を持つとはいえ、現在獲得賞金は1000万円も満たず、ランク88位は上位70人の賞金シードにはまだ遠く及ばない。
予選落ちと棄権を繰り返し、ツアーきってのスインガーと称されるショットにも精彩を欠いている。

今年、米ツアー7年目のシード権を決めた丸山が認める、数少ない日本人選手が伊澤だ。
2001年、2003年には賞金王にも輝いた。
「・・・それほどの選手が、どうしてこんなことになってしまったのか。自分の目で確かめたい。そしてその上で何か、僕にアドバイス出来ることがあれば・・・」と、足を運んでくれたのだ。

実際に、伊澤のスイングを見て「少し、ホっとした」と、丸山は言ったという。
2つ上の先輩とはいえ丸山にとって、伊澤はジュニア時代からの大親友。
2002年のワールドカップではチームを組み、45年ぶりの勝利を日本に持ち帰った“戦友”でもある。
良いところも悪い部分も、何もかも知り尽くしている丸山の目から見ても「周囲が噂するほどには、伊澤さんは悪くなっていない」と、安堵したという。

丸山から若干のアドバイスをもらって、この日のプロアマ戦に出ていった伊澤は「今日はほとんどフェアウェーに打てた。林に行くことはいちどもなかった」と、喜んだ。

2001年に大会連覇。
「丸ちゃんがせっかく心配して来てくれたのだし、ここで一撃入れられたら・・・」。
今シーズンも、残り4試合。このままでは終われない。思い出の舞台で、復活のきっかけを掴みたい。
  • 自ら練習場に出向き、ジャンボに挨拶する丸山。しばし、ゴルフ談義に花が咲く・・・。
  • 桑原克典(右)も丸山のジュニア時代からの大親友。やはり今年シード落ちの危機の桑原は、しばし丸山と戯れたあと延々と話し込み「良いヒントをもらった」と喜んだ。

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