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2005 アジア・ジャパン沖縄オープン 2006

高山忠洋「やっつけてやろう、と」

地元・沖縄の星、宮里聖志を向こうに回しての優勝争い。まして、この日最終日は同じ組でのプレー。自分のほうが良いショットを打っても、近くに寄せても、あきらかに拍手は少ないと感じたが、「アウェー」での戦いであることは、初めから承知していた。
いつも明るく、前向きな性格。そのことで、くよくよ思うことはなかったが、通算8アンダーで2人並んで迎えた18番。

高山が2メートルのバーディパットを外したとき、満員のスタンドから拍手が起きたのだ。

「さすがに“それはないだろう”と思ったけれど。逆に、それで火がついた。なにくそ、と思った。やっつけてやろう、と」。

同時に、全身からアドレナリンが吹き出していた。
そのせいで、プレーオフ1ホール目の第2打をグリーン奥のラフに打ち込んだが、それも天性のひらめきで切り抜けた。

左足上がりの、足場の悪いライ。こんなときはいつも、引っ掛けてオーバーさせたり、とんでもない方向へ行ってしまうことが多かった。
慎重に何度か素振りをするうちに「ライ角をフラットにして打てば、方向性が出せる」と気がついた。
サンドウェッジでの第2打は、イメージどおりのアプローチができた。
1.5メートルに寄せてパーセーブ。

2ホール目は容赦しなかった。
残り133ヤードの第2打は、8番アイアンで左奥5メートル。
アッパーカットのド派手なガッツポーズは、バーディパットのカップインさえ待てなかった。
ボールが下りのスライスラインをなぞり、カップ手前50センチに差し掛かるころに「入る」と確信した。
その瞬間、「計算する余裕もなく、無我夢中だった」。歓喜に、体が自然と反応していた。

聖志の連覇を阻止するツアー通算2勝目は、初優勝をあげた今年の開幕戦『東建ホームメイトカップ』に続いてプレーオフでの勝利。
アジアンツアーと日本ツアーの共同主管で行われた今大会は、年内最後の開催ながら来シーズンの賞金ランキングに加算される。
2005年の最初と最後をきっちりと締めつつ、いわば2年連続で年の初めにあたるトーナメントを制したかっこうに、「これからは“開幕戦男”と、呼んでください!」。

声高らかにアピールした。

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