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中日クラウンズ 2006

川岸良兼「優勝しなきゃ、意味ないよ」

和合は苦手だった。「いい印象なんてまったくなし。いつも叩きのめされて帰ってるから」。そのコースで63。しかも、この日はボギーなしだ。
最終18番で1メートルのバーディチャンスを決めて、通11アンダーは単独3位。キャディの福田央さんがささやく。

「川岸さん、これ、和合での最高順位じゃないですか」。
「何言ってんだ、順位なんてどうでもいい。優勝しなきゃ、意味ないよ」と、強がったものの、内心はやっぱり嬉しい。

「和合でこんな良いゴルフ、記憶にないよ。ここはアイアンショットの切れがないと通用しないしやっぱりね、年齢を経て経験を積んで対応できるようになったということかな」。

あまり距離がないだけに、これまではついティショットでドライバーを握りがちだった。それで、大怪我をするのが常だった。
「今年は、いっさいそういうことがなかった。ドライバーを持ったのは半分くらい。あとはスプーンかクリークで」。

うまく刻んで、100〜120ヤードの距離を残す。ウェッジで、固いグリーンにフワリと止める。
この日朝にひらめいて、右手をかぶせるようにしてグリップしたことも幸いした。「ダウンスイングで締めて打つ感覚」。
前日まで出ていたこすり球が、「今日は朝から厚く当たってた」。
安定したショットで急浮上した。

出場13回目にして、ようやく見えてきた和合の攻略法。
「いっぱい失敗して、我慢して。年を取らないと分からないものがあるんだね。・・・しかしシンゴは偉いな、まだ若いのに」。

優勝した片山と川岸のスコア差7は、くしくも彼との年齢差でもある。
「・・・今日は気楽な位置から追い上げただけだから。来年は最終日、最終組。緊張感の中で優勝争いをして勝ちたい」。
後輩に、負けてはいられない。

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