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東建ホームメイトカップ 2007

上田諭尉が強風の中、単独首位を死守

ひとつ、試練を乗り越えた。最大瞬間風速18メートルの強風が吹き荒れた大会3日目。「7番で、良いパーを拾って安心してしまったと思う」。
続く8番。
ティショットで低い球を打とうとして失敗した。
「フェースがかぶって、ひっかけた」。
左にOB・・・。

その瞬間、母・悦代さんの苦悶の表情が目に入る。
「何しよるねんっ!って顔してた・・・」。
開催コースの三重県・東建多度カントリークラブ・名古屋にほど近い、岐阜県の大垣市出身。
応援に駆けつけてくれた家族の前で、一気に漂う嫌なムード。

断ち切ってくれたのは、弟でキャディの崇宏さんだった。
「この風の中なら我慢大会。1ボギーで上がってヨシとしよう」。
グリーン上のボールも勝手に動き出してしまいそうなほど。
そんな強風の中で、無理にバーディを狙いに行ったら大怪我をする。

「常にパーセーブする気持ちでやろう」。
そう思ったら、たちまち気持ちが楽になった。
「我慢していれば、そのうち良いことあるかな、と」。
果たして、その通りになった。

9番の第2打は池ポチャ寸前。しかし、淵の1メートル手前に止まっていて「ラッキーだった」。
16番パー3では、13メートルのチャンスをねじ込んだ。
17番パー5でも「まぐれ的なバーディ」で通算8アンダーに踏みとどまった。
スコアこそ落としたものの、首位の座を死守して3日目を終えた。

いよいよ迎える最終日は、初体験の最終組。
「今夜は、眠れますかね」と首をかしげた。
正直言って「自信はない」と打ち明けた。

すべてが、未知の世界。「こんな位置で、やったことがない。明日もきっと苦しい戦い。そう簡単には、勝たせてくれない」。
不安と悲観が募る一方で、こうも思う。
「みんな、これをクリアして強くなっていく」。
避けては通れぬイバラの道。
くじけそうになったときこそ、心の中でこう言おう。
「男じゃないか。」
それが今年、ジャパンゴルフツアーが掲げたスローガンでもある。

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