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サントリーオープンゴルフトーナメント 2007

復活を目指す桑原克典が好スタート

この日初日は「覚悟していた」。台風9号の影響で、天候は荒れるだろう。途中で、競技も止まってしまうかもしれない。「いつ来るか、いつ来るか、と思いながらプレーしていたら、なんだこんなもん、で終わってしまった」と振り返ったが、桑原がスタートしたのは次第に風が勢いを増した午後。

けして、楽なコンディションではなかったがボギーは最終18番のひとつだけ。
66の4アンダーは3位タイの好スタートだ。

10歳でゴルフを始め、地元・愛知学院大時代はトップアマとして君臨。92年にプロ転向し、ツアー2勝を経験した男がドン底に落ちたのは昨シーズン。

賞金ランクは89位で、11年間守ってきたシード権を失った。
復活をかけた今季はストレスで体調を崩した時期もあったが、ツアーも後半戦を迎えたいま、ようやく明るさが戻ってきた。

38歳を迎え、「心技体」の意味するところを痛感している。
「僕らの年代になると、3つのうちどれかが落ちてくる」。
いちどどこかに故障を抱えると、気持ちが落ち込む。
ゴルフに集中するどころではなくなる。
「かといって、焦って気持ちだけあげようとすると、ますます落ち込んで」悪循環。
そんな桑原の心の支えになったのは、「先輩たちの助言」だった。

この日、同じ組で回った芹澤信雄も日ごろから何かと気をかけてくれるし、水巻善典や、レギュラーツアーを引退した渡辺司などもそうだ。
同じような経験をくぐり抜けたベテラン選手が、何よりのお手本になる。

特に中嶋常幸のアドバイスが効いた。
話を聞くばかりか今週火曜日には自宅によばれ、妻・律子さんの手料理までご馳走になった。
そのとき、律子さんが執筆した夫婦の自伝ともいうべき「ロープ」という単行本を読ませてもらい、これまでの苦労を知って涙した。
「中嶋さんに比べれば、僕の悩みなんて小さい、と」。
たちまち気持ちが吹っ切れたという。

「自分ひとりの力でスランプを切り抜けるには限界がある」。
大勢の人の助けを借りながら、いま手探りでトンネルを抜け出そうとしている。

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