普段はほとんど呑まないが、先週の日曜日はさすがに酒の力を借りるしかなかった。
「このままではとても眠れそうにない」と思ったからだ。
２度目のタイトルをかけて臨んだ日本オープン。
谷口徹に最後まで食らいついたが３打差で逃した。「残念会」と称して親友と「しこたま呑んだ」。珍しく「ベロベロ」に酔っ払って一度は床についたが案の定、１時間もしないうちに目が覚めて、そのまま眠れなくなってしまった。

「テンションが上がってくると、アドレスで前傾姿勢が強くなる」。
そのせいで、先週は再三ショットを右に曲げた。数え切れないくらい林に打ち込んだが、ここぞというときは「技術よりもまず、気持ちでやろうとするタイプ」。

執念を剥き出しに戦ったつもりだったが翌週、届いたファンメールにこんな内容の文面があった。
「今年は会長職もあり、いろいろ大変だろうとは思いますが、最近、プレーにあまり感情が出ていないような気がします。いつものアグレッシブなプレーが見たいです」。

そして、最後はこう締めてあった。
「私は、どんな深堀さんであっても応援を続けます」。

約２年間、遠ざかったままの勝ち星に、思い当たる部分もあった。
喜びも悔しさも前面に押し出して戦うのが自分のスタイルだった。
それだけに、長年のファンからの励ましは「久しぶりに胸に来た」。

先週、取りこぼしたツアー通算９勝目への欲求がますます高まった。
「なんとしても勝ちたい」。
今週も、高いモチベーションを保ったままの会場入り。

この日は、折り返しの10番で左の林に打ち込みながら、第２打を60センチに寄せてパーで乗り切るなどボギーなし。５アンダーをマークして、通算10アンダー首位タイに躍り出た選手会長は「先週の悔しさを晴らしたい」。
今週こそ燃え盛る闘志を全面に押し出していく。

• 深堀 圭一郎
• 谷口 徹