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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2007
手嶋多一「2週間、泣いて過ごした」
20試合に出場して予選通過は9試合だが、「実際には15試合くらい落ちているような感覚」。
初日、好スタートを切っても、なぜか2日目に大崩れする悪循環に次第に心の余裕をなくし、予選カットラインばかりに意識が行った。
そして「落ちるたびに白髪が増えた」と、苦笑する。
賞金ランク153位はシード権はおろか、予選会に再挑戦するにも不可能な位置。
いちど帰国して、日本オープンから2連戦のあと再び渡欧して、せめて準シードを狙う予定だったがそれもきゅうきょ取りやめた。
「この状態で行っても、もう通用しないと分かったから。とにかく、もう一度やり直しです」。
3週間ほど完全休養を取って、先週のダンロップフェニックスから再復帰。
今季国内5戦目の今週は、自身にとっての最終戦となる。
この日初日は、海からの強風が吹き荒れたが「ヨーロッパでは、こんなもんじゃんなかった」。
たとえば、ポルトガルの大会では「想像を絶する」強風に、グリーンさえ刈れない。
あえて芝を長く残すことで、勝手にボールが動いてしまうのを防ぐためだ。
この日、同じ組で回ったインドのシープ・カプールも欧州ツアーのメンバーだが、「彼も、日本ツアーのコースセッティングは非常にすばらしいと感心してた。向こう(欧州)は、自然をそのまま生かしたようなゴルフ場が多いですからね」。
難条件での初日首位スタートは、苦しみながらも過酷なツアーを戦ってきた努力の証し。
目標の初シード入りも叶えられず、傷心の帰国後は「2週間、泣いて過ごしたからね」と真顔でうつむいたあと、「なんて、冗談ですよ」と破顔一笑したが、相当に悔しい思いで帰ってきたことは確かだ。
普段から大きなことを言いたがらない性格だからはっきりと口にすることはなかったが、ここでツアー通算6勝目を達成すれば、きっと苦悩の1年も報われる。