Tournament article
UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2007
竹本直哉が2位と4打差の単独首位
今年のツアーNO.1決定戦は、いま旬なプレーヤーが勢ぞろいする。
しかも、戦いの舞台は深いラフが生い茂り、落としどころが非常に狭いタフなセッティング。
「その中でもっとも強い選手を決める。ここで勝てたら、真の実力者という感じがするから。だから僕はこの大会に勝ちたい」と言った選手がいたが、その思いは竹本も同じだ。
しかも、勝てば5年シードと世界ゴルフ選手権の出場権がついてくるとあれば、自ずと気持ちも高まってくる。
今年の大会ポスターにも書いてある。
“このタイトルだけは、譲れない”
「まさに、僕もその気持ちで戦っています」。
そんな熱い気持ちをそのままぶつけた、この日初日のプレーぶりだった。
「難しいからこそ、1打1打に大切に」。
そんな心がけも、奏効した。
ミスらしいミスはティショットを右に曲げた588ヤードの6番パー5だけ。しかし、このピンチも危なげなく乗り切った。バンカー手前のラフにもぐりこんだ第3打は残り127ヤード。やや無理な姿勢からのアプローチながら、ピッチングウェッジでピン3メートルにつけた。
これまで愛用していたマレット型は「調子が悪くなると、ヘッドが8の字を描いてしまう」。そんな理由から持ち替えたピンタイプのパターで、のぼりのフックラインを難なく決めて勢いづいた。
ここ宍戸ヒルズカントリークラブは「ティショットがフェアウェーにないと話にならない」。
生い茂るラフ。うねるフェアウェーは、落としどころが非常に狭く「欲はかけない」。
それほどの難コースと真剣に向き合って、「気付いたら」自己ベストの63。
今年から4番アイアンのかわりにバッグに入れた、9番ウッドを駆使してバーディを積み上げた。
しかもボギーなしの7アンダーは「このコースでありえないスコア!」と本人が一番目を丸くした。
ツアー外競技だったとはいえ、20人以上のシード選手が出場した2週前のマスターズGCクラシックで最終日に65をマークして、通算2勝目をあげたことが自信となっている。
17歳のとき、女子プロの母・茂美さんの勧めで単身渡米。
ジュニア時代にしのぎを削った選手たちが、いま米ツアーで活躍しているのを見るにつけ、「上手くなったなあ・・・って。昔は、僕と一緒じだったのにって」。
もちろん竹本だって、このまま指をくわえているつもりは全くなくて、将来のビジョンもしっかりとある。
「いつか、あそこに帰りたいと思っている」が、それもまずは日本での実績をあげてから、だ。
竹本直哉たけもとなおや
1976年11月25日生まれ、和歌山県出身。
湯浅小学6年生まで地元・湯浅町で過ごしたあと、奈良県の智辯学園中学に進み、卒業後に母で女子プロの茂美さんの進めで単身渡米。
パームスプリングスの公立高校に進むと同時にゴルフを始め、UCサンタバーバラ校ではゴルフ部で活躍。
ジュニア時代のライバルに、2003年全英オープンチャンピオンのベン・カーチスや、ジェイソン・ゴアなどがいる。
帰国後、すぐにツアープレーヤーを目指し、2000年にプロ転向。
ファイナルQTランク23位につけて、昨年に引き続き今季2年連続のツアー本格参戦。
やはりツアー外競技だった昨年の「南都(なんと)オープン」で初優勝をあげたとき、「賞金の一部を役立てて欲しい」と、地元福祉協議会に寄贈した。
得意なクラブはサンドウェッジ。趣味は読書とギター。 身長173センチ、体重65キロ。