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三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2008

プラヤド・マークセンが日本ツアー初優勝

優勝インタビューで、大きな瞳にうっすらと涙が浮かんだ。「今までとても長かったから。やっと勝てたんだなと思ったら嬉しくて…」。照れ笑いで、涙をぬぐった。

今年、シード8年目。これまで数え切れないほどのチャンスがありながら、なぜか日本で勝てなかった。

昨年11月のアジアンツアー「ボルボ・マスターズ・アジア」で通算6勝目。賞金ランクは5位。日本ツアーは未勝利ながら、同10位につけた。
また、総合ポイントで評価するUnisysポイントランキング賞と、イーグル率賞の2つの部門別ランキングで1位を獲得。

世界を股にかけた活躍が評価され、今年はマスターズから招待を受けた。
初めて挑んだオーガスタは持病の腰痛のため、2日目に無念の棄権をしたが、百戦錬磨の実力者であることには間違いない。

それがどうしたわけか、日本ではあと一歩というところでいつも大きなミスをする。
「普段はとても優しくて、非常に気遣いの人なのに、ひとたびコースに出れば、周りが見えなくなるくらいに熱くなる」とは、専属キャディの上江洲安秀(かみえすやすひで)さん。
それゆえか、ミスの連鎖で失敗することがたびたびあった。

しかし、この日は最後まで落ち着いたものだった。
17番パー3で池手前にショートするミスも、悔しさをあらわにしたのはほんの一瞬だった。
「いつもなら、ここで崩れ去っていたかもしれない」(上江洲さん)。

踏みとどまれた要因は、間違いなく家族の存在。
妻・パパーポンさんと、3人の子供たちは5度目の来日だが、会場まで応援に来たのは今回が初めてだった。
「後半からたくさんのお客さんに紛れて見失ってしまった」と笑うが、「絶対にどこかで見てくれている」という安心感が、「今日は何よりの支えになった」という。

首位タイで迎えた最終18番パー5は、グリーン脇のスコアボードを見るまで、ほかの選手の状況が分からなかった。
フェアウェーキープの第2打はグリーンも十分狙えたが、今週は特にアプローチが絶好調。
むしろマークセンの場合、ロングパットに不安があったから、プレーオフも覚悟でひとまず確実にレイアップすることに決めた。

ピン奥4メートルにつけたバーディパットは、抜け出す最後のチャンスだった。
同じようなラインから先に打った、同組のポール・シーハンのパッティングが参考になった。
「フックラインだけど、それほどきつくは曲がらない」。
上江洲さんとの意見もピタリと一致して、自信満々に打ったバーディトライをど真ん中からねじ込んだ。

来日以来、献身的なバックアップで支えてくれたマネージャーのスパポンさんが、昨年12月に63歳で急死。
「ぜひ日本での初優勝を見て欲しかったのに…。今、この場にいないのは、とても寂しい」。
大混戦を制し、何度も天に向かって突き上げたガッツポーズは、恩人に見せるためでもあった。



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