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日本オープンゴルフ選手権 2008

石川遼は6打差4位

苦笑いで振り返る。16番パー5。4メートルのパーパットにガッツポーズを握ったまま、我知らず吠えまくった。「パーではあり得ないリアクションに、バーディを取ったと思った人もいたと思う」。
2番アイアンで林に打ち込んだ第3打は脱出に失敗。すぐそこのラフに落ち、270ヤードも距離が残った。8番アイアンで残り135ヤードに刻み、9番アイアンでようやく乗せてのパーセーブ。
このトラブルの数々を見ていなかったギャラリーに誤解を与えてしまったが、「このコースでは、ああいうパーが嬉しくて・・・」。
照れながら、当時の心境を打ち明けた。

石川にとってこの日3日目は、もはや昨日までの古賀ではなかった。
メジャーが醸し出す独特の空気。
日本一決定戦の週末を、最終日のひとつ前でスタートするというシチュエーション。
今週、初めてその重さを痛感した17歳に、玄界灘に面したシーサイドコースが隠していた牙を剥いた。

「ミスをすると、こんなにも難しくなるものなのか・・・。雰囲気にも呑まれてた」。
緊張からさっそく1番で、ティショットを大きく右に曲げた。
「自分のリズムでゴルフが出来なかったスイングも速くなり、キレがなかった」。
表情もこわばり、ラフからのアプローチでは、「どのくらいの強さで打てばいいのか。分らなくなった」と、クラブを取り落として呆然とするシーンも。

この日の平均ストロークは75.933。
アンダーパーをマークしたのは一人だけ。
ムービングデーを迎えた超・難コースに「前半は、頭がおかしくなりそうだった」。
得意だったはずのアウトコースですっかり自分のゴルフを見失い、9ホールで41を打った。

それでもきちんと蘇生するのが石川の強さだ。
ハーフターンでリーダーボードを確認して気づく。
片山が一人旅をしていたが、それ以外はさほど伸びていない。
「他のプロのみなさんにも難しいんだ」。
リーダーボードには、思いがけずまだ自分の名前が確かにあった。
それが分ってからは、身上のドライバーにも2日目までの安定感が戻った。
「9番で勇気を持って、トップで深く肩を入れようと」。
ラウンド中の微調整でたちまち息を吹き返す。
「パットにも助けられた」。
難しいインコースをイーブンパーにまとめてきた。

結局、通算5オーバーは片山と6打差。
優勝の可能性を聞かれ、「え〜、う〜」とうなっていた石川は、とうとう言った。
「5%くらいなら、僕にもチャンスはある。前半終って、5打差位内ならまだ分らない。勝負をかけるのは16、17、18番だけでいい」。
史上最年少メジャーVに期待を残した。

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