Tournament article
コカ・コーラ東海クラシック 2008
マンデートーナメントからの大躍進、池田勇太が単独2位
プロ転向後、初めて経験した優勝争いの感想を、そんなふうに表現した。
ツアー出場5試合目の初優勝まで、あと一歩だった。
14番パー4で絶叫した。
「行け、行け〜!!」との本人の掛け声に押されるように、ボールはピンそば2メートルに。
このバーディで武藤を捉えると、がっちりと離さない。
16番パー3でも2メートルのチャンスにつけて、続く17番パー4は第3打をあわやチップイン。
この執念に、武藤も思わず「しつこいよ」と、こぼしたほどだ。
22歳の新人が、プロ8年目の30歳を揺さぶり続けた。
それまで好ゲームを演じていただけに、首位タイで迎えた18番だけが悔やまれる。
ラフから残り172ヤードの第2打は、フライヤーを計算して7番アイアンを握ったが、ボールの行方を追う池田の視線が次第に曇った。
右サイドに口をあける池。
その縁ぎりぎりに立ったピンには「あとひと伸び足りねえな、と」。
ギャラリーの悲鳴とともに、池に転がり落ちたボールは土留めの石垣にへばりつくように、水面から半分顔を出して浮いていた。
最後の試練に「よくいじめてくれるなあと思ったよ」と、苦笑いだ。
そのあと、石垣を飛び降りて“現場検証”。
しばらく思案していたが、そのまま打つには危険が多すぎると判断した。
「打とうと思えば打てるけど、バックスイングで水に当たってしまいそうだったし、それでペナルティもバカらしいから」。
ボールを拾い上げてドロップ。
しかし傾斜に球が止まらず、2度目のトライで石垣を転がり落ちて、今度は池深くにボールが沈んだのはご愛敬か。
新しいボールを改めて置き直し、それでも傷を最小限に、ボギーで上がって拳を握った池田には「これからも頑張れ!」と、暖かい声援が投げかけられた。
マンデートーナメントを勝ち上がり、ツアー優勝をあげた選手は過去に3人。
史上4人目の快挙とはいかなかったが、この単独2位で賞金ランクは前週の147位から一気に48位に急浮上。
あと200万円ほど上乗せすれば、初のシード権も見えてくる。
今回のトップ5入りで、出場権を手に入れた次週の「キヤノンオープン」も、ぜひこの勢いのまま臨みたい。