Tournament article
三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2009
チャワリット・プラポールが単独首位に
松の木は幹の根元から左右に揺れて、コースにきしんだ音を立てた。
選手たちが、用心して深くかぶった帽子も突風にあっけなく吹き飛ばされた。
風によろめきフィニッシュで、体勢を保つのもやっとの状況下で、タイのプラポールが得意のコントロールショットに物を言わせた。
午前スタート組は、その時点でベストスコアのイーブンパー。ただひとりの通算アンダーパーにも「ただ運が良かっただけですよ」と、肩をすくめた。
思わず苦笑いがこぼれたのが、571ヤードの15番パー5だった。猛烈なアゲンスト風に「打っても打っても、グリーンに届かないんじゃないかと思った」と、振り返る。
スプーンのティショットは210ヤードしか飛ばず、再び第2打をスプーンで打っても、まだ200ヤード近く残っていた。
普段なら、6番アイアンの距離を3番に持ち替えて、やっと乗ったと思ったらピンを大きくオーバー。
グリーン上で、アドレスを取ったら風で体が左右に揺れた。姿勢を保つのもやっとの状態。
風の影響で、ラインも変わる。「アゲンストなら強めに。横から吹いたら通常より大きめに曲がりを読んだり、もう必死でした」。
どうにか奧から2パットでしのぎ、パーを拾った。
難ホールが続く前半のインコースで耐えて、後半のアウトコースでスコアを伸ばした。
5番はドライバーのティショットを右の林へ。
どうにかグリーンが狙えるルートは木と木のわずか5メートルを通すしかなかったが、いちかばちかで挑戦した。
無事、手前のラフに脱出した30ヤードのアプローチを直接カップに沈めて、がぜん調子づいた。
8番で奧から9メートルの長いバーディチャンスをねじこんで、7番からの2連続。
通算1アンダーに「我ながら、よく我慢しました」と言って、この日は早々にコースを退散したがそのあと、あれよという間に順位をあげて一気にトップに躍り出た。
誰一人アンダーパーが出なかったラウンドは、2004年に石川県の片山津ゴルフ倶楽部 白山コースで行われた日本オープン以来。
予選カットは通算7オーバー、47位タイまでの62人が決勝ラウンドに進出した。