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VanaH杯KBCオーガスタ 2009
藤田寛之が「両親の前で勝ちたい」
40歳は、「長かった。きつかった」と、苦笑いでこぼしつつ、この日の計29ホールはボギーなし。
3日目を終えて、通算13アンダーは石川遼に1打差に迫る2位タイに浮上して、直接対決をこう表現した。
「遼くんと僕。どちらが8月の月間MVPに輝くか……!?」。
6月のミズノオープンよみうりクラシックから、石川→藤田→石川→藤田と2人で交互に勝ち星を重ねる好調さで、ツアーを賑わせている。
その中で、さてどちらが先に今季3勝目を勝ち取るかという真っ向勝負に「明日はスーパースターか、地元の僕か?!」。
18歳まで福岡で過ごした九州男児は、地元ファンの声援に応えることを、何よりの励みにしている。
この日は早朝から全ラウンドについて歩いてくれた幼なじみもいる。
「遼くんは、僕の10倍のギャラリーがついていた」と、冗談めかしてムクれて見せたが、藤田もまた昔なじみの地元のファンを、引き連れてプレーした。
その中にはきっと、両親もいただろう。
「プレー中に親の姿が見えると力が入ってしまう」という息子の気持ちを気遣って、あえて気配を消しながら観戦してくれていたであろう父・寛実さんと、母の美登子さんが、唯一応援に来てくれるのが、地元開催のこの「VanaH杯KBCオーガスタ」。
藤田が、かねてより目標にしている国内メジャー以上に、この大会で「勝ちたい」と考える理由もそこにある。
「両親に、優勝シーンを見せてあげられたら最高だと思う」。
最終日もその一心で、コースに立つ。
このほど、11月に中国・深センのミッションヒルズゴルフクラブで行われるワールドカップでチームキャプテン的役割の今田竜二より指名を受けて、日本代表に選出された。
以前から、出場を熱望していた藤田にとって、またひとつモチベーションが上がる材料も増えた。
「気合い、入ってますよ」。
この勢いは当分、止まりそうにない。