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日本オープンゴルフ選手権 2009
藤田寛之がハン・リーと並んで首位タイに
左に曲げて、木に当たったティショットが、忽然と消えていた。あたり総出で捜索したが、見つからない。
「どうやら木になっちゃったみたいで」。
と、そのとき「あった!」との声。いさんで見に行くと、自分のボールではなかった。
気を持たされて、かえって「諦めがついた」という。
「朝一からまさかボールが無くなるとは思ってなかったけど。いつまでも捜していてもしょうがない」と潔く、もういちどティグラウンドに戻ってきて打ち直しのティショットは今度はフェアウェーをキープ。
1打加えて5オンの2パットはダブルボギーを打って、一気に1アンダーまでスコアを下げたが落胆するでもなく、怒るでもなく、淡々と「普段より難しいコースだから。今日パープレーでも上位には変わりない。ここからスタートしたと思おう」と即座に気持ちを切り替えて、淡々とホールを重ねた。
この先、息の長い選手を目指して、今年から取り組んでいるスライスからストレートの弾道へのスイングチェンジ。
試行錯誤の最中は、「コースに出ると、なおさら難しくて」。
まして難コースに加えて、この日はシビアなピン位置に、前半の16番までショットが思うようにいかずに苦しんだが、その分、得意のパットが冴えた。
特にパーパットだ。
16番で1メートル強の下りのスライスラインをしのぎ、4番では奧からやはり、1メートルは「2カップ分フック」の貴重なパーを拾って「日本オープンらしくなってきた」と、訳知り顔で頷く。
1992年のデビュー当時から、言われていた。
「日本オープンのコースは僕向きだと」。
確かに、バーディをたくさん取るとか、イーグルを奪うとかは苦手だが、「ここではそういうゴルフは必要とされていない」。
ツアー通算5勝目をあげたあたりから、「フェアウェーをキープする力は誰よりもある」と、本人もその気になって目標のひとつに加えてきた。
とりわけ、今季はすでに2勝をあげて、自分への期待はますます膨らむが、「いざコースに出ると、打ちのめされて」と苦笑い。
「メジャーへの気持ちが強すぎてもどうなのか」と、通算3アンダーは首位タイ浮上と絶好の位置につけ、残り2日間の気持ちの持って行きようも大きな鍵になる。
初の日本一の座を目指してとりあえず、本気になるのは最終日のバックナインと決めている。
「そこまでは、少しでも荒立てないように。動かず騒がず」。
もともと、淡々とプレーするタイプだが、今週は普段以上に不動の心でコースと向き合う。