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コカ・コーラ東海クラシック 2009

池田勇太が「去年の借りは絶対に返す」

この日の“池田劇場”は10番の「1メートルちょい」のバーディパットで幕を開けた。
さらに12番で2メートル。13番パー3は、5番で手前に70センチ。アイアンショットが、ことごとくピンを刺す。ますます波に乗っていく。

圧巻は、難関の16番だった。左に崖、両サイドにはバンカーが口を開け、待ち受けるグリーンはめっぽう狭い。
誰もが怖れるパー3で、池田も初めは「右狙い」だった。「でも、構えに入ったときに、良いイメージが出たからその通りに打った」というティショットはピンに向かって美しいフェードボールを描き、ピンそば70センチを捉えた。

次の17番も2メートルのチャンスを逃さず、5アンダーで折り返すと、後半の3番、4番で4メートル前後のパーパットを拾うなどディフェンスも完璧に、8アンダーの64は尊敬してやまないジャンボ尾崎ら3人が持つ、63に1打及ばず。
「そうだったんですか。それは残念でした」と、腰に手をやる仁王立ちは、いつものポーズで悔しがる。

この日初日は、石川遼とダニー・リー。日本と欧州の史上最年少チャンピオンの2人を引き連れてのプレー。
しかし、この日の池田は10代のスーパースター2人とは、スタートから気合いが違っていた。

今週は、開幕前から宣言していた。
「去年の借りは、絶対に返す」。
武藤俊憲と、タイで迎えた最終ホールで池に入れ、2位に敗れた昨年大会。ロッカールームで泣き崩れた苦い記憶。
そして同時に「この大会が、俺の原点」という強い思い入れ。

「だって俺が、表舞台に立てたのはこの大会のおかげじゃん。去年、俺はこの大会で初シードがどうか、というところまで行ったんだ。そのあと、何試合かでシードを決めた。それがなかったら、QTどうのこうのっていう話しになっていて、いまこの場所にいられるかどうかも分からなかった。今年の初優勝もなかった。この大会が出発点だったんだ」。

そんな思い出の舞台に再び立って、目指すものはひとつしかない。
「今年は優勝しかない。他には何にもないでしょ」。
池田の復讐劇は、同時に大会への恩返しでもある。そして、初日のロケットスタートは、ほんの序章に過ぎない。
「良いスタートは出来ましたが、今日のスコアに甘んじることなく、明日以降も取れる分だけ取らしてもらいます」と豪快に言い切った。

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