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マイナビABCチャンピオンシップ 2009

藤田寛之が珍しく怒……

最終18番で1メートルもないパーパットを外して3パットのボギーに藤田は…
いつも温厚な選手が、あれだけ感情をあらわにしたのは初めてだ。最終18番は、サードショットを打つ際に、テレビクルーの動きに気を取られたばかりか、1メートルのパーパットを打つ際にもまた……。

仕切り直しをしたものの「タイミングを外された。大事な場面で、2回続けては集中力が持たなかった」と、3パットのボギーを打った。

「そのせいにはしたくない」。
とは言いながら、ひとこと言わなければ気がおさまらない。

今週は、石川遼らとともに藤田もギャラリーの観戦マナーを呼びかける啓発VTRの撮影に参加したばかりだった。

しかし、関係者のほうこそ、それが守れないとあっては……。
「ギャラリーのみなさんのほうが、よほどちゃんとして下さっている。運営する側こそ、きちんとしてくれないと」と、つい言いたくもなる。

「しかも、みなさんはきっと何年もゴルフに携わっている方々なはずで、こちらが打とうとしているときに、動かないほうがいいというのはちょっと考えれば分かること。基本中の基本でしょう」と訴えたのには伏線があった。

春先のトーナメントの会場で、メディアのみなさんを集めて「勉強会」を行ったという経緯があった。
これにも藤田は参加しており、どういう場面で、どこにカメラがあったら選手は気になるか、どのタイミングで動かれたら集中力がそがれるか、など実際にラウンドしながら、丁寧に説明して歩いたつもりだった。

「それなのに、まったく生かされていない。それが悲しい」と、唇を震わせた。

あの勉強会も、メディアのみなさんとの懇親の意味も込めて、快く協力したつもりだった。これからも一緒にトーナメントを盛り上げていきましょう、という藤田の意思表示でもあった。
白熱した戦いを全国に流していただけることは、非常に有り難い。
「でもその関係者の方がこれでは……。本末転倒でしょう。さすがにやる気をなくします」。

もちろん、それがどうにも防ぎようのない失敗だったならば、これほど藤田も声を荒げない。そんなに心の狭い選手ではない。
「僕らのほうでも、乗り越えていかなければいけないことがあるというのは分かっています。細かいところまで問題にするつもりもないし、誰だって失敗もする。多少のうっかりミスは仕方ない。でも今日はさすがに……」。

ほんのちょっとの心遣いさえあれば、防げたはずのトラブルには言わずにおれなかった。
「僕らも努力しますから、どうか、みなさんも考えてみてください」と、呼びかけた。
そして、肝心の翌日の最終日には「亨さんとの5打差はかなりある。とにかく明日は気持ちを切り替え、挑戦者としてのゴルフをする」と、ひとまず気を鎮めるので精一杯だった。

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