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三井住友VISA太平洋マスターズ 2009
賞金レースを争う2人は
前日初日に揃って4位タイにつけた2人が、この日は揃って苦しみながらも踏ん張った。
池田はスタートから雲行きが怪しかった。スタートの1番でティショットは明らかに力が入っていなかった。
案の定、右に大きくふかし、第2打はグリーンの左に外し、寄らず入らずのボギースタートは3番ホールまでその連鎖が続き、ずるずると後退。
前日に続く厳しい冷え込みに、痛めている右手首は「ずっとかばってプレーをしていたら、ゴルフまで壊れてきた」。
またその弊害から他の箇所まで痛くなってきて、まさに満身創痍の状態に。
「右手が使えなくて、左ばっかり使っていると、誰でも左までおかしくなるように、それ以外の具合も悪くなってきた」。
出場すると決めたからには「トップ争いすることが、俺に課せられた条件」と、そこまでの覚悟を持ってコースに立ったが、これ以上ゴルフが壊れてしまわないように、途中から修正するしかなくなった。
「とにかくイーブンパーまで戻そう」とキャディの福田央さんと話し合い、実際にこうして踏みとどまれたのは、本人の強い意志はもちろん、ギャラリーの暖かい声援があってこそ。
「耳にも目にも入ってくる。それでなんとかモチベーションを上げている」。
一方の石川も、大きなピンチを2度も迎えながら、1アンダーで上がってきた。
11番のパー5でティショットが右の林へ。
第2打はボールが木と木の間に挟まれた格好に、思い切ってスプーンを握り、フォロースルーで木を強打した瞬間は「体全体に来るような衝撃」。それでも果敢に脱出を試みたが、今度は左の林へ。
カート道に落ちた3打目は救済を受けて、ドロップして砂混じりのライからサンドウェッジを握ったがそれが木を直撃。まだ30ヤードのアプローチが残ったが、これを寄せてパーでしのいだ。
そして最後はウォーターショットで締めた。
18番パー5は、残り235ヤードの左バンカーからクリークでグリーンを狙ったが、「北風が吹いていて、210ヤードくらいしか飛ばせなかった」。
池に打ち込んだボールはしかし、てっぺんが顔を出しているくらいの状況に、ためらいはなかった。
靴のまま足を入れて振り抜いた第3打は奧のラフまで転がり込んだがサンドウェッジで2メートルに寄せてこれをしのいだ。
また、3番、12番ではバンカー目玉から見事な寄せでパーを拾った。3番はピンまで40ヤードと距離があり、12番は4ヤードと距離がなく、それぞれ違うイメージのバンカーショットも見事に使い分けた。
これには本人も、内心では相当に得意だったようで、「見る位置によっては、目玉だと分からない方もいらっしゃたので。少し悲しかった。出て当たり前という雰囲気に、大声で“今のバンカーは目玉だったけれども上手く打てた”と言いたかったくらい」と、笑わせた。
このところグンと増した経験値でどうにか大崩れは防いだものの、波乱の1日を改めて振り返り、「もし優勝できなければ今日のラウンドは悔しいと思う」と、石川。
「昨日の内容が良かったので、今日はどうしてもそれと比べてしまって。昨日はもう少し良かったのにな、とか思ってしまった。明日からは、朝から『今日は今日』という気持ちでやれたらいい。あの2日目が痛かったと思わないで済むように、あと36ホール頑張りたい」と、気合いを入れ直していた。