Tournament article
カシオワールドオープン 2009
熾烈なシード権争いは…
つまり、シード権争いの選手たちにとっては、今週のカシオワールドオープンが事実上の最終戦となる。
今年は特に、ボーダー線上にこれまでシードの常連だったベテランや中堅勢がひしめき、熾烈な戦いを繰り広げている。
この日、5アンダーは3位タイにつけた野上貴夫もそのひとりだ。
現在、賞金ランク87位はシード権が与えられる上位70人には遠く圏外。
「その状況の中で、上々のスタートが切れた」。
先週までは、どこかもやもやした思いを抱えたままのプレーを続けてきた。
しかし、いよいよ正念場を迎え、かえって吹っ切れたという。
「今週ダメでも来週、頑張ればいい」。
次週は来月2日から始まる来季の出場権をかけた予選会「ファイナルクォリファイングトーナメント(ファイナルQT)」へと気持ちを切り替え、いちからの出直しを誓った途端に、不思議とゴルフが上向いた。
「昨日から調子が良くなってあれっ、今週は行けるかも、と」。
一発逆転への強い意志を取り戻してこの1戦に賭ける。
そのほか、シード権の奪還を狙う田中秀道は3アンダーの16位タイにつけた。
今季は、試合中の怪我を公傷とみなす特別保障制度の適用を受けて復帰を目指したが、ボーダーラインに到達出来ないままに2週前に、今季出場可能な20試合目を迎えて、今週は主催者推薦を受けての参戦だ。
「せっかくいただいたチャンスを生かしたい」。
その一心で、コースに立っている。
この日はグリーン上で、再三チャンスを外した。
「入れたい4〜5メートルを、6回も」。
ストレスのたまる中、ひどい腰痛で1試合しか出場できなかった昨シーズンを思い返した。「イライラして切れるなんて、トッププレーヤーがすること。自分はもう長いこと試合にすら出ていない選手なのだから」と、何度も自分に言い聞かせて、最後まで丁寧なプレーを心がけた。
「この状態で、60台で回れて良かった」とどうにか気持ちをなだめ、「だんだん良くなってきていると、信じてやる」と、ツアー通算10勝の実力者は最後まで諦めない。
もっと“圏外”から逆転を狙うのは、タイ出身のチャワリット・プラポールだ。
現在、賞金ランク104位は「今週、トップ3に入るくらいじゃないとダメ」。
それを承知で、初日からガンガンに攻めた。
2番でエッジから22メートルものバーディパットをねじ込んだ。そして16番でもカラーから21ヤードのアプローチを、チップイン。
6番、8番、9番ではいずれも2.5メートルのパーパットをしのいで4アンダーは8位タイに、「明日も、とにかくバーディを獲りに行く」と勇ましく、「ダメならQTに行くだけ」と、覚悟を決めて残り3日も攻めまくる。