Tournament article
フジサンケイクラシック 2009
石川遼が単独首位に
いつも、高い集中力でコースに挑む17歳は、「自分でも、全然気づいていなかった」と、あとから目を丸めたが、この日グリーンを外したのは7番ホールだけだった。
それも、グリーンまではあとわずかに10センチほど。ピン手前6メートルのエッジに乗せて、ほぼ100%のパーオン率に「どうりで、今日は簡単にパーが取れてると思いましたよ」と、破顔一笑した。
この日の第2ラウンドは、ドライバーの安定感もさることながら、アイアンショットが冴え渡った。重心位置を高くして、スピン量を抑えたクラブセッティングも効力を発揮して、ショートアイアンもピンを面白いように絡め取り、バーディを奪った1番は20センチ。6番は、奧に1メートル。12番は、手前に1メートル。16番は、右奧5メートル……。
15番パー5は、2番アイアンで左3.5メートルに乗せた。
17番パー5は、3番ウッドでやはり左に5メートル。
いずれもイーグルチャンスこそ外したが、「長いクラブで、幅に打っていけるのは、今までになかったこと。ミート率が上がってサイドスピンもかからずに、あの2ホールは完璧に攻略できた」。
一番長いパーパットは13番の2メートル半だった。
バーディチャンスの数で言うならもっと多いが、外したホールも「ほんの一筋のラインの読み違いで、良いパットは出来ている」との確信がある。
17位に終わった昨年大会は、「球筋にはこだわらず、曲がってもいいから良いスイングをしようと思っていた。でも今は、良いスイングをしたときにしっかりとストレートの球が出るようになってきている」と、この1年の成長のあとを数字でもしっかりと、示してみせた。
丸山と片山と回ったこの予選2日間は、「すごく勉強になりました」。
中でも、「狙いどころを1ヤードに単位に絞って打っている片山さんの攻め方を見習いたい」と、賞金王のエキスも存分に吸収出来た。
仲田健トレーナーに「むしろ適量の刺激を加えたほうが、疲労を軽減できるから」と諭され、連戦にムチ打って、ほとんど毎日続けているトレーニングは「楽しくないし、疲れているのにやりたくないときもある」と、17歳らしい正直な胸の内を明かしつつ、ここにきて体調の良さを実感するにつけ「今年の結果を見ても、それが生きている実感があるからやるんです」と、大きく頷く。
心技体、共に充実しきって迎える決勝ラウンド。
毎日4バーディ以上を目標にしている石川は、「この4日間で、16個を目指していきたい。明日は、それに迫るバーディを取って行きたい」と、声も弾む。
「優勝争いの緊張感は嫌いではない。あの雰囲気を味わうために、練習している。相手が誰であろうと自分を変えず、1打1打に集中したい」と強い気持ちは揺るぎない。
アマチュアにして、史上最年少のツアー初優勝を飾ったあと、最初に出場したトーナメントがこのフジサンケイクラシックだった。
それから30回を超えるラウンドを重ね、「ツアーで一番好きなコースのひとつ」という富士桜は初日から2日続きで濃霧に見舞われたが、石川の今季3勝目はくっきりと見えてきた。