Tournament article

ダイヤモンドカップゴルフ 2010

今季初戦の中嶋常幸が決勝進出

最終18番で、2人のトッププロにねぎらわれてジーンと来た。同組の丸山茂樹と片山晋呉が声を揃えて「お帰りなさい!」。

この日は後半に3つのバーディを奪い、通算1オーバーは48位タイでの決勝進出に、「本当に戻って来られた」という感慨も、ひとしおだ。

「さすが、俺は才能のかたまりだね」と、冗談交じりに胸を反らしたが、これでも当初は不安で一杯だったのだ。

ジャパンゴルフツアー第5戦のこの「ダイヤモンドカップ」は中嶋にとって、これが今季初戦だった。
1月のスキー合宿で交通事故に遭い、入院とリハビリ生活を経て、戦線から遠ざかったばかりか、4ヶ月もクラブさえ握れなかった。

長いブランクには、ゴルフ歴45年のベテランさえ怯え、前日の大会初日はインスタートの10番ティで、「最悪のシナリオも頭をよぎった」という。

それは、「トーナメントのグリーンの速さを忘れ、ラフに苦しみ、てんてこ舞いして80を打ってしまう」という、中嶋が脳裏に描いた想像上のストーリー。
「俺は、本当に戻ってくるに値する選手なのだろうか?」という疑念。

しかし、初日のスタートホールですぐに吹っ切れた。
「トーナメントでまだ、俺も強い球が打てる・・・。その手応えを感じることが出来たんだ」。
初日は3オーバーと出遅れたが、それよりも何よりも「復帰して戻ってきて、俺にもまだ出来る、と確認出来た。それが嬉しい」と、55歳の声も弾んだ。
そしてさらには、この日2日目のアンダーパーに、それらの確信がますます増した。

こうなったら、欲も出て来る。
「あとは少しでも上で戦いたい。“お帰りなさい”じゃなくて、“お邪魔ですよ”と言われるように、“邪魔者が帰ってきた”と言われるように頑張りたいね」。
復帰早々に優勝争いにも、割って入ろうか、という健在ぶりだ。

関連記事