昨年覇者と同様に、18歳も少なからず緊張している。予選２日間は、青木功と同じ組。前回は２年前。プロ１年目の２００８年。２位につけた日本オープン以来のラウンドだ。
「青木さんは憧れのプロゴルファー。緊張感のほうが、強いですね」と、初々しく頬を染めたが、これまで２年の実績は、もはや初々しくはない。

すでに通算７勝をあげて、今年は先の中日クラウンズで世界６大ツアー最少の58をマーク。

世界のアオキの前に出ても、もう恥ずかしくはない。
「成長しました、というのをお見せ出来たら」と、本人もひそかにその自覚たっぷりに、「青木さんには砲台グリーンの距離感と、グリーン回りの多彩なアプローチ、そして僕との経験の差を知る良い機会。素晴らしい時間を感じながらラウンド出来たら」と、学ぶ姿勢は相変わらず謙虚そのもの。

ほかにも発奮材料は満載だ。
開催コースの地元・埼玉県出身。
友達が家族を連れて観に来ると聞いている。
「お母さんのほうのおじいちゃん、おばあちゃんも今年、初観戦」。
恩人の前で「優勝争いに絡みたい」。
その準備もぬかりない。
先週のオープンウィークは、自宅の練習場でバンカーショットやアプローチの鍛錬に余念がなかった。毎日３〜４時間ほど腰を据えた。
「おかげで、どんな場合もヘッドとボールの間に砂や芝を挟まず、クリーンに打てるようになってきた」と、確かな手応え。
グリーン上も、今週からこれまでのＬ字型からセンターシャフトの新パターを投入し、好感触を掴んでいる。そこに「徐々に右肩上がり」のドライバーショットが加われば、もはや18歳に死角はどこにも見あたらない。

ここ狭山ゴルフ・クラブはうっそうとした松林にセパレートされたフェアウェーの先に待ち受けるグリーンが「奧に向かって下っている。砲台なのに、受けていないところが難しい」と、今週もシビアな戦いが予想されるが「こういうコースで勝ちたい、という気持ちは本当に強い」と、気合い十分だ。

• 石川 遼
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